チエル株式会社が2024年7月に語学学習支援システム「CaLabo MX」のバージョンアップを発表した。この革新的なアップデートにより、教育現場での効率性と学習効果の向上が期待されている。新機能の中でも特に注目を集めているのが、AIによる空所補充問題の自動作成機能だ。この機能により、教員の負担が大幅に軽減されるとともに、学習者一人ひとりのレベルに合わせた問題作成が可能となる。
AIがもたらす教育革命 自動問題作成機能の詳細
AIによる自動問題作成機能は、教育現場に革命をもたらす可能性を秘めている。この機能では、教員が「問題レベル」「問題数」「問題数に対する品詞等の配分」の3つのパラメーターを指定するだけで、AIが最適な空所補充問題を自動で生成する。
従来、教員が学習者それぞれのレベルに合わせた問題を作成するには膨大な時間とエネルギーが必要だった。しかし、この新機能により、教員は時間を節約しつつ、より多くの学習者に適切な難易度の問題を提供できるようになる。
さらに、同じ英文でもパラメーターを変更することで、難易度の異なる問題を作成できる柔軟性も備えている。また、AIが生成した問題は、教員が必要に応じて空所の追加や削除など自由に編集可能だ。このカスタマイズ機能により、AIと教員の知識や経験を融合させた、より質の高い教材作成が可能となる。
進化するディクテーション教材 「Powerful Dictation」の特徴
今回のアップデートでは、新たなディクテーション教材「Powerful Dictation」も追加された。この教材は、PEN言語教育サービス代表で慶應義塾大学名誉教授の田中茂範氏が監修しており、その品質と効果が期待されている。
「Powerful Dictation」は、Bronze、Silver、Goldの3つのカテゴリーがあり、それぞれに「Ⅰ」「Ⅱ」の2レベルが設定されている。計6レベルの教材から学習者に最適な課題を提供できるため、初心者から上級者まで幅広い学習者のニーズに対応可能だ。
効果的な学習構成と豊富な語彙学習
各レベルの教材は30課で構成されており、3名のネイティブ講師による自然な速度の英文朗読が特徴だ。学習の前半(Day1~Day15)では単語ディクテーション、後半(Day16~Day30)では同じ英文を使用したフレーズディクテーションを行う構成となっている。
この構成により、学習者は225語の単語学習に加え、フレーズディクテーションを通じてさらに1000語以上の単語を学習できる。同じ英文を繰り返し使用することで、学習者の負担を軽減しつつ、効果的な定着学習が可能となっている。
また、英語音声の模倣による表現力向上や、「My Vocabulary Notes」機能を活用した語彙力強化など、多角的なアプローチで総合的な英語力の向上を図ることができる。
学習効率を高めるユーザビリティの向上
「CaLabo MX」の大きな特徴である「自分の好きな時間に好きな場所で学べる」という点をさらに強化するため、新たにショートカットタブ機能が追加された。
この機能により、学習者は「すぐに学べる教材」タグからワンクリックで目的の教材にアクセスできるようになる。通学時間や授業間の隙間時間など、短い空き時間を効果的に活用した学習が可能となり、学習のモチベーション維持にも貢献すると考えられる。
教育現場と学習者双方にメリットをもたらす進化
今回の「CaLabo MX」のバージョンアップは、AIによる問題作成機能や新しいディクテーション教材の追加、ユーザビリティの向上など、多岐にわたる改善が施されている。教育現場の負担軽減と学習効率の向上を同時に実現する可能性を秘めたこのアップデートは、語学教育の未来に大きな一歩を記すものだと言えるだろう。
教育のデジタル化が進む中、AIと人間の教育者のそれぞれの長所を活かしたシステムの進化は、今後ますます重要性を増すと考えられる。「CaLabo MX」の今回の進化が、語学教育の質の向上と学習者の成長にどのような影響をもたらすか、今後の展開が注目される。