シャオミのサブブランド「POCO」から新型フラグシップスマートフォン「POCO F6 Pro」が日本でも発売された。価格は69,980円(税込)からと非常にリーズナブルだが、その実力はどうなのだろうか。
光の角度で表情が変わる高級感あるデザイン
POCO F6 Proの筐体デザインは、背面にはなめらかなマットガラスを、側面にはメタルボディを採用しており、非常にスタイリッシュな仕上がりとなっている。特に背面は光の当て方によって見える柄が変わる仕様で、高級感も演出されている。
ただし、付属するケースは単色かつ薄グレーで、せっかくの背面の良さを消してしまっているのが残念だ。透明ケースを買うか、そのままで使いたいところだろう。
一世代前のチップでも十分な性能を発揮
F6 Proでは、プロセッサにクアルコム社製の「Snapdragon 8 Gen 2」を採用している。現在の最新プロセッサは「Gen 3」であるため、一世代前のものになるが、ほぼすべてのゲームタイトルにおいて申し分ない性能を担保しており、価格の抑え込みによるコストパフォーマンスの担保が図られている。
実際に手持ちのGen 3搭載スマホと比較してみても、一般的なゲームプレイにおいては殆どその差は見受けられず、激重で知られるオープンワールドゲーム「原神」をはじめ、「崩壊スターレイル」「アスファルト9」などは最高画質設定で楽しむことができる。また、メモリは一律12GBと申し分ない潤沢な仕様になっており、複数ゲームの同時起動でもカクつかない。
一方で、同価格帯の「Pixel 8a」では、グーグル自社開発チップ「Tensor G3」を採用しているが、一部の最新ゲームタイトルでは最適化が行き届いておらず、ベンチマークテストでは同じ数値でも実際のゲーム体験で大きく劣ることが報告されている。その点、Snapdragonは多くのスマホに採用されていることから、ほとんどタイトルが最適化されており、同価格帯でもゲームをするならF6 Proが良いだろう。
ただし、高性能チップゆえの発熱問題はある。F6 Proは独自の冷却システム「リキッドクールテクノロジー4.0」を用意しているものの、排熱機構(ファンなど)は搭載されていないことから、ROG Phoneのようなゲーム全振り機種には劣る。特に処理の重いゲームではメタルフレーム部分を触ると熱く感じるため、あくまで「ゲームを遊びまくれる普通のスマホ」として捉えておきたい。
最大120W急速充電に対応も、おサイフケータイは非対応
F6 Proのその他の魅力として、安価ながらも「最大120W急速充電」に対応している点が挙げられる。専用の付属充電器を使うことで、100%満充電にかかる公称値は脅威の「約19分」だ。朝起きて「充電し忘れた!」と絶望しても、身支度する時間だけで充電が可能である。
ただし、実際に検証したところ20%台から90%台までにかかる時間は約20分と、公称値よりはやや長くなっていた。また、急速充電を有効にした場合はかなり発熱が発生したり、通常の充電よりもバッテリーに負荷がかかったりするため、急用以外での常用は状況に応じて検討したい。
一方で、F6 Proは「おサイフケータイ」に対応していないことには注意が必要だ。日本独自の仕様が故に、グローバル販売と同時発売する都合から実装を見送ったものと考えられるが、モバイルSuicaやQUIC Payなどは使えない。ただし、楽天Payの楽天カードタッチ決済や一部のVISAタッチ決済は使えるので、割り切れるかどうかがポイントとなる。
ディスプレイ・カメラも必要十分のスペック
その他のスペックを見ると、ディスプレイは6.7型のWQHD+解像度(3200×1440)と120Hzのリフレッシュレートに対応しており、ゲームプレイから映像鑑賞まで幅広い用途に対応する。
カメラについては、手ブレ補正(OIS)搭載の5000万画素メインカメラを背面に備える。撮影画像はXiaomi 14 Ultraのような感動は無いものの、ほとんどのユーザーの用途には問題ないレベルだ。
まとめ
POCO F6 Proは、処理チップこそ1世代前のモデルを採用しているものの、12GBものメモリを搭載し、ゲーミングでも快適に遊べる十分な性能を保持している。
そして、美しい背面デザインが印象的な筐体や、120W超急速充電など性能面でも妥協がない。それでいて6.9万円という最安値クラスの価格設定で、非常にコストパフォーマンスに優れたモデルと言えるだろう。
ただし、おサイフケータイ非対応など、日本市場向けの機能は割愛されている点には注意が必要だ。その点を踏まえた上で、ハイスペックかつリーズナブルなスマートフォンを探しているなら、POCO F6 Proは非常に魅力的な選択肢の一つになるはずだ。