あおぞら銀行とaiQ、生成AI活用で金融システム開発に革新をもたらす

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000140170.html)より
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    あおぞら銀行とaiQの画期的な取り組み

    あおぞら銀行と株式会社aiQが共同で実施した生成AIによるシステム開発の実証実験(PoC)が完了した。この実験では、EUCのロジック解析に加え、単体テスト工程においても生成AIの有効性が確認された。金融機関のシステム開発における効率化と品質向上に向けた画期的な一歩となる可能性を秘めている。

    実証実験の詳細と成果

    2024年2月から開始されたこの実証実験は、当初4カ月の予定で行われた。実験の対象となったのは、あおぞら銀行がデリバティブ取引のバック業務で利用しているEUCだ。生成AIを用いて処理内容の解析・整理を行い、ドキュメントの作成やリファクタリングなど、適用可能範囲とその品質について検証が行われた。

    実験開始からわずか2カ月後の2024年3月末には、当初の目標であった複雑な帳票作成ロジックの解析が達成された。生成AIによって作成された仕様書は、有識者以外でも容易に理解できる平易な内容となり、システム開発への生成AI適用の有効性が早々に確認されたのだ。

    この成果を受け、実験期間は1カ月延長され、単体テスト工程への生成AIの活用についても追加検証が行われることとなった。

    単体テスト工程への生成AI適用

    単体テスト工程における生成AIの活用は、主に3つの領域で検証が行われた。それらは、①テストケース作成、②テストデータ作成、③テストの期待結果作成だ。実際のシステム開発プロジェクトでの利用を見据え、テスト実施時の効率性、再現性、さらには横展開可能な再利用性を確保できるようプロセスが設計された。

    生成AIを活用したテストプロセスの革新

    生成AIへの入力として、クエリとテーブル定義書が与えられ、それらをもとに①~③をアウトプットする関数を実装するプロンプトが用意された。この革新的なアプローチにより、システム開発の経験がない人材でも、高品質なテスト工程を実施できる可能性が示唆された。

    実際に、システム開発未経験者も参加して、業務で使用されているEUCを対象に単体テスト工程のプロセス評価が行われた。結果は驚くべきものだった。生成AIを活用したテストプロセスの有効性が確認され、その後の実際のシステム開発プロジェクトにおいても、この実証実験の成果が活用されているのだ。

    金融システム開発における生成AI活用の将来性

    今回の実証実験で、金融機関におけるシステム開発の一部への生成AI適用の有効性が確認された。これは金融テクノロジーの進化における重要なマイルストーンと言えるだろう。

    今後は、システム開発の上流工程を含めた各工程における成果物の製造と評価といった、より広範囲なロールに対して生成AIの適用範囲を拡大していくことが期待される。迅速な対応と高い正確性が要求される金融機関のシステム開発において、生成AIの活用は効率性を大幅に向上させる可能性を秘めている。

    テクノロジーがもたらす競争力の向上

    生成AIの活用は、単なる効率化にとどまらない。テクノロジーを活用したビジネス競争力の追求を支援する強力なツールとなり得るのだ。システム開発コストの高騰や有識者の減少といった業界全体が直面している大きな課題に対して、生成AIの活用は有効な解決策の一つとなる可能性が高い。

    aiQとあおぞら銀行の革新的な取り組み

    株式会社aiQは、野村ホールディングス株式会社の社内ベンチャーとして誕生し、東京大学松尾豊研究室の支援を受けて2018年6月に創業したスタートアップ企業だ。金融、IT、AI分野の最前線で活躍するデータサイエンティストやフィナンシャル・エンジニアを擁し、創業当初から国内外の機関投資家にオルタナティブデータを提供してきた実績がある。

    aiQの先進的なサービス展開

    2020年からは、メガバンクや国内最大級の事業会社に対してデータ分析支援サービスを提供するなど、活動の幅を広げている。自社のサービス提供のためのシステム開発効率化に生成AIを段階的に活用してきた経験を活かし、今回のあおぞら銀行との共同実証実験にも取り組んだのだ。

    一方、あおぞら銀行は1957年の設立以来、革新的な金融サービスの提供に力を入れてきた金融機関だ。今回の生成AI活用の取り組みは、同行のイノベーションへの姿勢を如実に表すものと言えるだろう。

    金融業界におけるAI活用の今後

    今回の実証実験の成功は、金融業界全体にとって大きな意味を持つ。システム開発の効率化だけでなく、AIを活用した新たな金融サービスの創出にもつながる可能性がある。

    金融機関がAIを活用することで、リスク管理の精度向上、顧客サービスの改善、業務プロセスの最適化など、様々な面でのイノベーションが期待できる。今後、他の金融機関も追随し、業界全体でのAI活用が加速することだろう。

    このような革新的な取り組みが、日本の金融業界の国際競争力向上にどのようにつながっていくのか、今後の展開に注目が集まっている。

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