特務機関NERV防災アプリが災害時生活支援機能を実装、1.5万人サポーターの力で進化

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000046712.html)より

    特務機関NERV防災アプリが大幅アップデートを行い、ユーザー投稿型の災害時生活支援情報共有機能「クライシスマッピングレイヤー」を実装した。このアップデートにより、防災アプリの新たな可能性が開かれ、災害時の情報共有のあり方に変革をもたらす可能性がある。

    目次

    特務機関NERV防災アプリの進化と新機能

    特務機関NERV防災アプリは、2024年9月9日にバージョンv6.0へのアップデートを実施した。このアップデートで追加された「クライシスマッピングレイヤー」は、災害時の生活支援情報を地図上に可視化し、ユーザー間で共有するための機能だ。

    アプリ開発元のゲヒルン株式会社は、この新機能によって避難所や給水所の位置、トイレの設備、道路の通行状況、災害ごみの収集場所、入浴支援の情報、罹災証明書の申請場所、救援物資の配布地点など、被災者の生活再建に直結する多様な情報を収集・提供することが可能になったと説明している。

    クライシスマッピングレイヤーの特徴と意義

    クライシスマッピングレイヤーの特筆すべき点は、投稿権限をサポーター会員に限定することで信頼性の高い情報収集を実現している点だ。サポーターは現在地から10km圏内の情報を投稿でき、必要に応じて詳細説明を追加することができる。

    さらに、誤った情報や古い情報に対しては、ゲヒルンがレビューを行うとともに、サポーター同士でも修正や削除を行うことができる仕組みが導入されている。この仕組みにより、情報の正確性と最新性が保たれることが期待される。

    また、日本語で投稿された情報は英語に、英語で投稿された情報は日本語に自動翻訳される双方向の翻訳システムも実装されている。この機能により、言語の壁を超えた情報共有が可能となり、国際的な災害支援や外国人居住者・訪日外国人等の安全確保にも貢献すると考えられる。

    防災アプリの5年間の進化と1.5万人のサポーターの貢献

    特務機関NERV防災アプリは、2019年のリリースから5年間で様々な機能開発とインフラ増強を行ってきた。現在、総ダウンロード数は620万回以上に達し、月額課金を継続しているサポーター会員数は1万5000人を超えている。

    主要な機能強化の歴史

    アプリの進化の過程で、以下のような重要な機能が追加されてきた:

    1. カウントダウン機能を備えた「緊急地震速報の現在地予想」
    2. アメダス、積雪情報、台風進路などの気象情報
    3. 噴火速報や噴火警報・予報、降灰予報などの火山情報
    4. 英語対応
    5. 雷レイヤーによる準リアルタイム落雷情報
    6. 津波観測情報
    7. アクセシビリティアップデート(ライトテーマと18種類の配色パターン・スクリーンリーダー対応)
    8. Jアラート
    9. 河川水位情報
    10. 防災科学技術研究所との相互協力協定による強震モニタレイヤーと揺れ検知通知

    サポーター会員の重要性

    ゲヒルン株式会社は、これらの機能強化とインフラ基盤の改善が、サポーター会員の継続的な支援によって実現したとしている。サポーター会員は、アプリの進化や維持に貢献したいと考えるユーザーであり、新機能のクライシスマッピングレイヤーの投稿権限を持つことで、さらに重要な役割を担うことになる。

    クライシスマッピングレイヤーの開発背景と課題

    東日本大震災以降の情報伝達の変化

    東日本大震災を契機に、インターネットやソーシャルメディアは新しい情報伝達手段として注目を集めた。その後、スマートフォンの普及とともに、多くの公的機関や報道機関がSNSで災害情報の提供を行うようになった。

    しかし、近年ではプラットフォームの変化によって、インプレッションや収益化を目的とした書き込みが爆発的に増加し、情報空間の汚染が進んでいる。その結果、SNSで正しい情報を探し出すことが困難になっているのが現状だ。

    公的機関の情報発信の課題

    公的機関が発信する情報についても、データ形式や品質、運用体制等に課題がある。データを入手できたとしても機械的に処理を行うことが難しく、利活用が十分に行えないという問題が存在している。

    クライシスマッピングの試み

    こうした背景から、NERV防災アプリでは、災害や支援に特化したデータフォーマットを作成し、クライシスマッピングによって情報を収集する試みを始めた。この試みは実験的な側面もあり、社会にどのような影響を与え、どのように役立つのか、その価値はまだ未知数だ。

    しかし、ゲヒルン株式会社は、ユーザー同士のネットワークによって情報伝達のあり方を変えられる可能性に期待を寄せている。

    クライシスマッピングレイヤーのスパム対策と今後の展望

    スパム対策の重要性

    ユーザーが投稿するシステムにおいて、スパム対策は重要な課題だ。クライシスマッピングレイヤーでは、以下のような対策を講じている:

    1. 現在地から10kmの範囲内での投稿に制限
    2. 投稿権限をサポーター会員に限定
    3. Apple IDやGoogle IDでの決済を必要とする会員制度

    これらの対策により、悪意あるユーザーが迷惑行為を行うためのハードルを上げている。さらに必要に応じて、サポーターズクラブ入会後、所定の日数経過後に投稿権限が付与されるなどの追加対策も検討されている。

    サポーター会員への期待

    クライシスマッピングは始まったばかりで、多くの情報が未記入の状態だ。高品質な情報を作るには、ユーザーネットワークが非常に重要となる。ゲヒルン株式会社は、サポーター会員に対し、日頃からトイレや公園、公共施設等のマッピングを呼びかけている。

    特にトイレ情報は、バリアフリー対応やオストメイト対応など、必要としている人にとって重要な情報となる。サポーター会員の協力により、このような細かな情報も充実させていくことが期待されている。

    今後の展望

    ゲヒルン株式会社は、クライシスマッピングレイヤーを今後数年かけて育てていく方針だ。アプリがこの5年間で進化を続けてきたように、未成熟のクライシスマッピングレイヤーもユーザーと共に成長させていく考えだ。

    今回のアップデートは第1段階であり、今後も複数の機能追加が予定されている。防災情報配信のさらなる強化に向けて、ゲヒルン株式会社の取り組みは続いていく。

    特務機関NERV防災アプリの進化は、技術の発展とユーザーの協力によって実現されてきた。クライシスマッピングレイヤーの導入により、災害時の情報共有の新たな形が生まれる可能性がある。今後、この機能がどのように発展し、実際の災害時にどれだけ有効に機能するか、注目されるところだ。

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