カミナシ、2024年度に5製品展開で現場DXを加速。従業員管理から設備保全まで包括的サービスへ

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000054269.html)より

    カミナシが2024年度中に現場DX推進のための5製品ラインナップを展開すると発表した。この新たな戦略は、深刻化する労働力不足に対応し、製造・物流・建設業界のデジタル化を加速させることを目指している。

    目次

    労働力不足の深刻化と現場DXの必要性

    リクルートワークス研究所の「未来予測2040」によると、2040年には日本の労働力が1,100万人不足すると予測されている。特に建設・物流・製造・福祉などの現場で働く職種の労働力不足が顕著だ。この状況下で、ノンデスクワーカーの人手不足はデスクワーカー以上に深刻な問題となっており、DXによる生産性向上が現場を持つ企業にとって喫緊の課題となっている。

    カミナシは「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」というミッションのもと、日本の就業人口の半数以上を占める約3,900万人のノンデスクワーカーの働き方を変革すべく、現場向けのクラウドサービス(SaaS)を展開している。2023年3月には「まるごと現場DX構想」を策定し、現場のさまざまな課題を解決するためのマルチプロダクト化を目指すことを発表した。

    カミナシの現場DX戦略と新製品ラインナップ

    カミナシは「まるごと現場DX構想」を改めて発表し、現場の基盤を「作業方法」「人」「設備」の3つの領域に分類した。この3つの領域を軸に事業を展開していく方針だ。

    作業方法の最適化

    現場では法令で定められた基準やISOなどの規格、社内ルールといった、守るべき方法・手順が多数存在する。カミナシは主力製品の『カミナシ レポート』を通じて、これらの作業方法をデジタル化し、効率化を図っている。

    人材管理の革新

    作業をするのは主に人であり、資格や教育、健康状態など、さまざまな要件が求められる。カミナシは現場従業員管理システム『カミナシ 従業員』を提供開始し、人材管理の効率化を支援している。

    設備保全の強化

    現場では、設備や機械が安定稼働していなければ、生産活動やサービス提供が不可能だ。カミナシは『カミナシ 設備保全』を2024年度中にリリースする予定で、設備保全業務の一元管理を可能にする。

    新製品の詳細と期待される効果

    カミナシ 設備保全

    『カミナシ 設備保全』は、現場の機械・設備の異常報告や修理履歴などの記録を行い、予防保全から事後保全まで設備保全の業務を一気通貫で管理するクラウドサービスだ。設備カルテに蓄積したデータを活用することで、生産設備の予期せぬ停止を最小限に抑えることが期待される。

    カミナシ 教育管理

    『カミナシ 教育管理』は、現場従業員への教育・研修を簡単に実行・管理できるクラウドサービスだ。現場作業の多くは、法令やISOなどの規格によって、作業方法や社内ルールが厳格に定められている。パートタイマーを含めた従業員の教育・研修は必須であり、計画から実行、管理までの一連の流れが管理者の大きな負担となっている。『カミナシ 教育管理』では、研修計画の策定やコンテンツ配布、受講確認など、雇用形態を問わずすべての従業員を対象とした現場教育の実行をサポートする。

    カミナシIDの導入とAI・IoT技術の活用

    カミナシは、シリーズ製品に共通してログインすることができる『カミナシ ID』の提供も開始した。また、新製品の開発と並行して、既存製品においてもAIやIoTなどの技術を取り入れた機能開発を推進している。

    現場DXの未来と課題

    カミナシの取り組みは、ノンデスクワーカーの労働環境改善に大きな可能性を秘めている。しかし、デジタルツールの導入が進む一方で、現場特有の課題も浮き彫りになっている。例えば、流動性が高く、雇用する人数が多いアルバイトなどパートタイマーの従業員に対して、入社のたびにツールの使い方を習熟してもらうことの難しさや、現場での作業中に複数のツールを切り替えて使用することの困難さ、パートタイマーを含めた従業員個人にかけられるデジタルツールへの投資額の大きさなどが挙げられる。

    カミナシは、これらの課題に対応するため、使い慣れた製品群から必要なものだけを安価に利用できる状態を重要視している。マルチプロダクト化を推進することで、現場DXを効果的に進めることができると考えられる。

    今後の展望

    カミナシは、今後も製品の提供を通じて現場のDXを強力に推進し、ノンデスクワーカーが活躍できる環境を創造していく方針だ。全社員で年間3,100回の顧客訪問を実施し、現場のニーズを直接汲み取る姿勢は、より実効性の高いサービス開発につながると期待される。

    現場DXの推進は、労働力不足問題の解決だけでなく、働き方改革や生産性向上にも大きく寄与する可能性がある。カミナシの取り組みが、日本の産業界全体にどのような影響を与えるか、今後の動向に注目が集まるだろう。

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