パナソニック コネクト、ジョブ型人事制度で社員53%が行動変容を実現

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000073135.html)より
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    パナソニック コネクトが推進する人事制度改革の全容

    パナソニック コネクト株式会社は、2023年4月より風土改革の一環として、約12,000人の国内全社員を対象とした「ジョブ型人材マネジメント」を一斉導入した。従来の終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」から、社内評価に加え市場価値が重要になる「ジョブ型」への移行を図ったのだ。この大規模な人事制度改革の背景には、2022年4月のパナソニックグループの事業会社制移行に伴う新会社発足がある。

    パナソニック コネクトは、キャリア自律度の高いプロフェッショナル人材を育成すべく、「キャリア自律の浸透」と「社員一人ひとりの行動変容」を推進してきた。その一環として、社内外での相談窓口「CAREER STATION」を設置し、社外人材による1on1プログラム「YeLL」を導入した。

    社内外の相談窓口設置による効果

    人事総務本部キャリアデザイン部シニアマネージャーの中島好博氏は、「社内で具体的に相談したい話がある一方で、社内では本音が言いにくい話もある。扱うテーマにあわせて使い分けしてもらいたいと考え、このような支援体制を作った」と述べている。社内と社外、それぞれのテーマに合わせて相談できる窓口を用意することで、社員が自身のキャリアについて本音で話せる環境を整備したのだ。

    1on1プログラム導入による具体的な成果

    パナソニック コネクトは、エール株式会社の1on1プログラム「YeLL」を導入し、その効果を検証した。最初に人事総務本部が指名した80名の社員に1on1プログラムを受講させ、終了後のアンケート結果から「明らかな成果があった」という手応えを得た。

    社員の行動変容に見られる顕著な改善

    2回目の1on1プログラムでは、120名が参加し、さらに顕著な成果が見られた。セッション前後の行動変容に関する回答を比較したところ、「興味関心はあるが行動に至っていない」とした社員が55%から26%へと減少。一方で、「実際に行動している」と回答した社員が28%から53%へと大幅に増加した。

    人事総務本部キャリアデザイン部キャリア開発総括担当の渡邊暁氏は、「社内公募にエントリーしました」「副業の申請をしました」という具体的な行動の変化が多く聞かれたことを挙げ、「完全に変わってきている、と手応えを感じられた」と語っている。

    社員の声から見る1on1プログラムの効果

    人事総務本部の三上恭平氏は、1on1プログラムを受講した経験について次のように振り返っている。「全6回のセッションを通じて、『自分のこういう強みを人事として活かせるといいんだ』『人事でこういうことがしたいんだ』と気づくことができた。その指針を現在もとても大事にしている。社外の視点からいい問いをたくさんいただいて、自分でキャリアを築くってこういうことなんだということを本当に考えさせられた」

    この声からも、1on1プログラムが社員の自己理解とキャリア意識の向上に大きく寄与していることが窺える。

    今後の展開と目指す組織の姿

    パナソニック コネクトは現在、3回目の1on1プログラムの準備を進めている。中島氏は、「目指すべきは社員全員の『行動変容』だ。簡単ではなく、長く時間がかかる話ではあるが、諦めずにやり続けたいと思っている。そして、それが実現できたなら、『会社と社員の新しい関係』が築けるはずだ。双方にとっての”いい会社”になるのだと思う」と、長期的なビジョンを語っている。

    CHROによるセミナー開催で知見を共有

    エール株式会社は、9月12日にパナソニック コネクト株式会社執行役員 ヴァイス・プレジデントCHROの新家伸浩氏を招いてセミナーを開催する。このセミナーでは、同社のジョブ型人事制度の取り組みと実践の経緯、組織の変化について詳細な話が聞けるとのことだ。

    パナソニック コネクトは、2017年から企業価値を持続的に向上させるための3階層の企業改革(風土改革、ビジネス改革、事業立地改革)を掲げ、様々な取り組みを行ってきた。その結果、「キャリアオーナーシップ経営アワード2024グランプリ」を受賞するなど、外部からも高い評価を得ている。

    結論:ジョブ型人事制度がもたらす組織変革の可能性

    パナソニック コネクトの事例は、ジョブ型人事制度の導入と適切な支援プログラムの組み合わせが、社員の行動変容と組織全体の活性化につながることを示している。1on1プログラムを通じて社員のキャリア自律を促進し、具体的な行動変化を引き出すことに成功した同社の取り組みは、他の企業にとっても参考になるだろう。

    今後は、この取り組みをさらに拡大し、全社員の行動変容を目指すとともに、会社と社員の新しい関係性を構築していくことが期待される。ジョブ型人事制度の導入は、単なる制度変更ではなく、組織文化の大きな転換点となる可能性を秘めているのだ。

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