Oracle Cloud VMware Solution、基幹システムのクラウド移行を加速する革新的サービスとして注目を集める

    OCVS
    画像:VMware(https://vmc.techzone.vmware.com/technical-overview-oracle-cloud-vmware-solution)より

    Oracle Cloud VMware Solution(OCVS)が、企業の基幹システムクラウド移行を劇的に簡素化する画期的なソリューションとして注目を集めている。このサービスは、既存のVMware環境をOracle Cloud Infrastructure(OCI)上にシームレスに移行できる画期的な機能を提供し、多くの企業から高い評価を得ている。

    目次

    OCVSが提供する3つの主要な利点

    OCVSは、企業のクラウド移行プロセスを大幅に改善する3つの主要な利点を提供する。日本オラクルの近藤暁太氏によると、これらの利点は以下の通りだ。

    1. 短期間かつ低リスクでのクラウド移行
    2. 基幹システムの安定運用の実現
    3. クラウドリソースの最大限の活用

    既存環境との互換性を維持しつつ迅速な移行を実現

    OCVSの最大の強みは、既存のVMware環境をほぼそのままの状態でOCI上に移行できる点にある。この特性により、企業は従来のネットワーク構成やセキュリティ設定を維持しながら、運用管理ツールや手法もそのまま継続して使用することができる。結果として、移行に伴うリスクを最小限に抑えつつ、プロセス全体の期間を大幅に短縮することが可能となる。

    さらに、OCVSは本番環境と同じ構成・規模でのテストを事前に行うことができるため、移行後の基幹システムの安定性を高い精度で予測し、確保することができる。この機能は、特に大規模な基幹システムを運用する企業にとって非常に重要な利点となっている。

    他のVMwareサービスとの差別化要因

    OCVSが他のVMwareサービスと一線を画す最大の特徴は、ユーザー環境のプライベートネットワーク内に他のクラウドサービスと共に展開できる点にある。この機能により、ユーザーは完全な制御権を持ってVMware仮想化環境を管理でき、オンプレミス環境と同等の構成・設定で運用を行うことができる。

    サードパーティソフトウェアの完全サポート

    近藤氏は、OCVSのもう一つの重要な利点として、サードパーティソフトウェアの完全なサポートを挙げている。多くのクラウドサービスでは、管理権限の制限によりサードパーティソフトウェアの使用が制限される場合があるが、OCVSではユーザーが全ての管理権限を保持できるため、あらゆる機能を制限なく使用することが可能だ。この特性は、特定のサードパーティツールに依存している企業にとって非常に魅力的な要素となっている。

    コスト効率の高いデータ転送料金体系

    OCVSは、予測が難しいとされるアウトバウンドのデータ転送料金においても、透明性が高く低コストな料金体系を提供している。Oracle Cloudの場合、インターネット経由のデータ転送は月10TBまで無料で、それを超過しても1GB当たりわずか3円という非常に競争力のある価格設定となっている。さらに、閉域網接続を利用する場合は、データ転送料金が完全に無料となる。

    近藤氏によると、この料金体系は特にハイブリッドクラウド環境を採用している企業に大きなメリットをもたらす。オンプレミス環境とクラウド環境間のデータ転送が頻繁に発生するケースでは、この低コストな料金設定が大きな費用削減につながる可能性がある。

    基幹システムの安定稼働を支える高可用性

    OCVSは、基幹システムの安定稼働に最適な環境を提供する。ユーザーが本番環境の変更を完全に制御でき、十分なテストを実施できる点が、この安定性の基盤となっている。

    さらに、OCIのデータセンター設計も高可用性に貢献している。各データセンターは3つの障害ドメイン(FD)で構成されており、VMwareクラスターを複数のFDに分散配置することで、標準でハードウェア障害に対応できる構成となっている。加えて、複数リージョンを活用した災害対策(DR)サイト構成を構築することで、国内でも極めて高い可用性を実現することができる。

    クラウドネイティブ環境への円滑な移行

    OCVSは、クラウドネイティブ環境への将来的な移行や拡張も視野に入れた設計となっている。システムのクラウドネイティブ化への移行が容易であり、他のクラウドサービスとの連携も高速かつ安定して行うことができる。さらに、他社のクラウドサービスへのシステム拡張も容易に実現できるため、マルチクラウド戦略を採用する企業にとっても魅力的なソリューションとなっている。

    導入事例/サンドラッグと大日本印刷

    OCVSの実際の導入効果を示す事例として、サンドラッグと大日本印刷(DNP)の例が挙げられる。

    サンドラッグの事例

    サンドラッグは、店舗拡大に伴う既存VMware環境の拡張という課題に直面していた。当初はクラウド移行を検討していたものの、OSやミドルウェアの制限により大規模な変更が必要となる見込みだった。しかし、OCVSの導入により、既存システムをほぼ変更することなくクラウドへの移行を実現。これにより、移行期間と工数を大幅に削減することに成功した。さらに、今後はPaaSサービスの活用やシステムの集約によるさらなるコスト削減も視野に入れている。

    大日本印刷の事例

    DNPは、OCVSを活用して700以上の仮想サーバーをクラウドに移行した。この過程で、オンプレミス環境と同じアーキテクチャーや管理性を維持しながら、スムーズな移行を実現している。また、統合データベース基盤を「Oracle Exadata Database Service」に移行することで、オンプレミス環境を上回る性能、可用性、データセキュリティを実現しつつ、コストの最適化にも成功している。

    さらに、東京・大阪の2つのリージョンを活用したDR構成を構築することで、基幹システムに不可欠な高レベルの可用性とデータ保護を、従来よりも低コストで実現している。この事例は、OCVSが大規模な企業システムの移行と運用効率化に大きく貢献できることを示している。

    今後の展望

    OCVSの導入事例が増加するにつれ、このソリューションがもたらす利点がより広く認識されつつある。特に、既存のVMware環境を活用しながらクラウドの利点を最大限に享受できる点が、多くの企業から高く評価されている。

    今後は、さらなる機能拡張や他のOCIサービスとの連携強化により、OCVSの価値がさらに高まることが予想される。クラウド移行を検討している企業にとって、OCVSは既存環境との互換性を維持しつつ、クラウドの利点を最大限に活用できる魅力的な選択肢となっているのだ。

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