ファミリーマートと日清食品のコラボ企画広告に素材サイトの「透かし」 意図的な演出か、それとも単なるミスか

    ファミリーマート 日清食品 コラボ広告
    画像:X(@famima_now)より

    ファミリーマートの公式Xアカウントが7月2日に投稿した、日清食品とのコラボ企画を告知する画像に、素材サイト「Adobe Stock」の透かしが入ったままになっていることが話題となっている。一見、著作権侵害が疑われる事態だが、ファミリーマート側は「著作権侵害には該当しない」と回答。果たして、この騒動の真相とは?

    目次

    「Adobe Stock」の透かしが入ったままの画像

    問題となっているのは、ファミリーマートの公式Xアカウントが7月2日午前10時に投稿した、日清食品とのコラボ企画を告知する画像だ。この画像には、両社のロゴとともに握手のイラストが使用されているのだが、よく見るとこの握手のイラストに「透かし」が入っていることが分かる。

    画質を調整してみたところ、透かしはアドビの素材サイト「Adobe Stock」のロゴであることが判明。Adobe Stockで「握手」というキーワードを検索してみると、確かにファミリーマートが投稿したものと同じと思われる握手のイラストが販売されていた。

    Adobe Stockの「カンプライセンス」とは

    Adobe Stockでは、透かし入りの画像を「カンプライセンス」に従って利用することができる。具体的には、透かし入りの画像を使ってアドビのソフトで社内やクライアント向けの資料を作成し、OKが出たらライセンスを購入することで透かしが消え、完成するという仕組みだ。

    つまり、この仕組みを利用する際に何らかのミスがあれば、透かしが入ったままの画像が世に出てしまう可能性がある。その場合、ライセンスを購入せずに使う規約違反の行為と見分けがつかないのだ。

    ファミリーマート側は「著作権侵害には該当しない」と説明

    しかし、ファミリーマート側は問題の画像を取り下げることはせず、7月4日には公式サイトで「掲載時点で適切に対応しており、著作権侵害には該当しないことを確認している」とのコメントを発表した。

    真意は測りかねるが、ファミリーマートが画像を取り下げない理由としては、単なる作業ミスではなく、意図的な演出の可能性が指摘されている。実は今回のファミリーマートと日清食品のコラボは、「ビジネスだけのドライな関係」で「渋々」コラボするという設定になっているのだ。

    握手のイラストにも不自然な点が

    さらに、問題の画像をよく見ると、握手の上に描かれた3本の気づき線の一部が欠けているのが分かる。これは、両社のロゴ画像の背景を透過しないまま握手のイラストの近くに配置したために起こったミスではないかと推測される。

    複数人がチェックをすれば簡単に発見できそうなこのミス。つまりこの画像は、「意図的に雑に作られた」ものであり、「渋々」のコラボという設定を表現する演出になっている可能性があるのだ。

    「雑」な演出には丁寧さが必要

    ネット上で透かし入りの画像が炎上した過去の事例を振り返ると、たいていはチェック漏れなどの雑な作業が原因だった。それを踏まえると、今回のファミリーマートの一件は意図的な「雑」の演出である可能性は十分にありえる。

    ただし、筆者としては、実在する素材サイトの規約違反と誤解されるようなやり方では、イメージダウンは避けられないのではないかと懸念する。SNSでバズを見た全員が「種明かし」まで見てくれるわけではないからだ。

    「雑」の演出をするにしても、オリジナルの素材と架空の透かしロゴを用意するなど、もう少し丁寧さがあっても良かったのではないだろうか。せっかくの面白い企画も、やり方次第では台無しになりかねない。企業は消費者の反応をよく見極めた上で、慎重にSNS運用を行うべきだと感じさせられる一件であった。

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