PFU、輪島塗工房復興支援で限定HHKB黒漆キーボードを132万円で販売開始

    輪島塗キーボード
    画像:Happy Hacking Keyboard(https://happyhackingkb.com/jp/news/2024/news20240627.html)より
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    能登半島地震被害を受けた輪島塗工房の復興を目指す「Re:japanプロジェクト」

    PFUは2024年6月27日、能登半島地震で被災した輪島塗工房「大徹八井漆器工房」の復興支援を目的とした「Re:japanプロジェクト」を立ち上げた。このプロジェクトは、クラウドファンディングサイト「Makuake」を通じて実施される。日本の伝統工芸と最新テクノロジーの融合を体現する本プロジェクトは、単なる復興支援にとどまらず、日本のものづくりの未来を見据えた意義深い取り組みだと言える。

    PFUと大徹八井漆器工房の関係は2006年にさかのぼる。当時、PFUは輪島塗仕様のキーボード「HHKB Professional HG Japan」を販売し、その製作に同工房の技術が活かされた。今回のプロジェクトは、その縁を活かして被災した工房を支援する取り組みであり、企業と伝統工芸の絆が災害を乗り越え、新たな価値創造につながる可能性を示している。

    プロジェクトの概要と意義

    「Re:japanプロジェクト」では、輪島塗の技術を活かした高級キーボード製品を数量限定で提供する。これらの製品の売り上げは、工房の復興資金として活用される予定だ。輪島塗は日本の伝統工芸として高い評価を受けており、その技術を現代のテクノロジー製品に融合させる試みは、日本の伝統と革新の調和を象徴するものと言える。

    このプロジェクトは、単に被災地支援の枠を超えて、日本の伝統工芸の価値を再認識し、現代社会における新たな可能性を探る試みとしても注目される。高度な技術と美意識が結晶した製品を通じて、日本のものづくりの魅力を国内外に発信する機会にもなるだろう。

    提供される輪島塗HHKBシリーズの詳細

    「Re:japanプロジェクト」で提供される製品群は、伝統的な輪島塗の技法と最先端のキーボード技術を融合させた、まさに唯一無二の逸品だ。各製品の詳細を見ていくと、日本の職人技がいかに現代のテクノロジーと調和しうるかが理解できる。

    黒漆仕様のHHKBキーボード2モデル

    本プロジェクトの目玉商品は、黒漆塗り仕様のHHKBシリーズ2製品だ。具体的には「黒漆キートップ+HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列モデル」と「黒漆キートップ+HHKB Studio 英語配列モデル」の2タイプが用意されている。

    これらの製品は、高級感溢れる黒漆塗りのキートップを特徴としており、伝統的な日本の美意識とハイテクノロジーの融合を体現している。黒漆の深みのある艶やかな仕上がりは、使い込むほどに味わいが増すと言われており、長年使用することで所有者独自の味わいが生まれることが期待される。

    各キーに施された黒漆は、輪島塗の伝統的な技法に則って何層にも重ねられ、耐久性と美しさを兼ね備えている。この仕上げにより、通常のプラスチック製キーボードでは得られない触感と視覚的な満足感を提供する。

    溜塗仕様のキートップセット

    さらに、”溜塗”仕様のESC+Controlの2キーセットと、単体の”溜塗”仕様ESCキーも提供される。溜塗は、黒漆の上に透明な漆を何度も塗り重ねることで、深みのある赤黒い色合いを生み出す高度な技法だ。これらのキートップは、既存のキーボードにアクセントを加えたい使用者にとって魅力的なオプションとなるだろう。

    溜塗の美しさは、光の角度によって変化する深い色合いにある。この技法を用いたキートップは、単なる装飾品ではなく、使用するたびに所有者の目を楽しませ、タイピングという日常的な作業に特別な喜びをもたらす可能性がある。

    プロジェクトの価格設定と意義

    「Re:japanプロジェクト」で提供される製品の価格設定は、その希少性と職人技を反映したものとなっている。黒漆仕様のHHKBキーボード2モデルはともに132万円(税込)で、各2セットの限定販売だ。溜塗のキートップセットは3万9600円、単体のESCキーは1万9800円となっている。

    これらの価格設定は一般的なキーボード製品と比較すると非常に高額だが、それは単なる入力デバイスではなく、日本の伝統工芸品としての価値を持つ芸術作品としての側面も持っているためだ。購入者は、高性能なキーボードを手に入れるだけでなく、日本の伝統工芸の保護と被災地の復興に貢献することができる。

    高額な価格設定には批判的な見方もあるかもしれないが、この価格帯は伝統工芸品としての価値と、復興支援という社会的意義を考慮したものだと考えられる。また、限定生産であることから、将来的には希少価値が高まる可能性もある。

    プロジェクトの今後の展開と期待される効果

    「Re:japanプロジェクト」は、被災した工房の支援という直接的な目的を超えて、日本の伝統工芸とテクノロジーの融合、そして災害復興の新たなモデルケースとしての可能性を秘めている。

    このプロジェクトの成功は、他の伝統工芸分野にも波及し、日本の文化的資産の保護と革新的な製品開発の両立につながることが期待される。また、こうした取り組みは、地域経済の活性化や、若い世代の伝統工芸への関心を高めることにも寄与する可能性がある。

    さらに、このプロジェクトは企業と伝統工芸の協力関係の重要性を示す好例となるかもしれない。技術の継承と革新、そして災害からの復興という複数の課題に対して、クリエイティブな解決策を提示しているからだ。

    今後、このプロジェクトがどのような展開を見せ、輪島塗工房の復興にどのような影響を与えるか、そして日本の伝統工芸とテクノロジーの融合にどのような新しい可能性をもたらすか、大いに注目されるところだ。

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