Beatsが新たなワイヤレススピーカーで市場に再参入
Beatsが2015年以来、実に9年ぶりとなるワイヤレスBluetoothスピーカー「Beats Pill」を発表した。この新モデルは、8月8日より24,800円(税込)で発売される予定だ。予約受付は8月6日から開始され、マットブラック、ステートメントレッド、シャンパンゴールドの3色展開となる。
Beatsは2014年にAppleに買収されて以来、スピーカー市場での存在感が薄れていた。しかし今回の新製品発表により、同社がオーディオ機器市場で再び積極的な姿勢を見せていることが窺える。Beatsの関係者によると、この新モデルは過去のシリーズの長所を引き継ぎつつ、さらなる洗練を加えたものだという。
音響技術の革新がもたらす圧倒的な音質向上
新しいBeats Pillは、音質面で大幅な改良が施されている。カスタム開発されたレーストラックウーファーとトゥイーターを各1基搭載し、前モデルと比較して驚異的な性能向上を実現した。
ウーファーには強化されたネオジム磁石が採用され、駆動力が28%、ピストン領域が53%、動かせる空気量が90%も増加している。これにより、低音域での歪みを最小限に抑えつつ、より力強い重低音を再現することが可能となった。
一方、トゥイーターは専用のハウジングに格納されることで安定性が向上し、クリアな高音と豊かな中音の実現に成功している。さらに、本体のチルト角度を上方20度に設定した新デザインにより、立っている時も座っている時も、より自然な音の伝達が可能になった。
多様な使用シーンに対応する高い機能性
新型Beats Pillは、単なる音楽再生デバイスにとどまらない多機能性を備えている。USBケーブルでの有線接続によるロスレスオーディオ再生や、2台同時使用によるステレオ再生など、より高度な音楽体験を提供する。
また、ビデオ会議などでの使用を想定し、高性能マイクを搭載。独自のノイズ学習アルゴリズムにより、周囲の雑音を効果的に抑制し、クリアな音声伝達を実現している。
屋外使用にも適した耐久性と携帯性
新型モデルは、前モデルより10%の軽量化を実現しつつ、キャリーストラップの装備や滑りにくい素材の採用など、携帯性にも配慮した設計となっている。さらに、IP67等級の防塵・防水性能を備えており、屋外はもちろん、キッチンやバスルームなど、様々な環境での使用が可能だ。
バッテリー性能も大幅に向上し、最大24時間の連続再生が可能。また、わずか10分の充電で2時間の音楽再生ができるFast Fuel機能にも対応している。さらに、本体をモバイルバッテリーとして使用することもでき、スマートフォンなどの充電も可能だ。
スマートデバイスとの優れた連携性
新型Beats PillはiOSとAndroid両方のデバイスとの簡単なペアリングに対応している。さらに、iOSの「探す」機能やAndroidの「デバイスを探す」機能にも対応しており、紛失時の発見を容易にしている。
また、各プラットフォームの音声アシスタントにも対応しており、ハンズフリーでの操作も可能だ。これらの機能により、新型Beats Pillはスマートホームシステムの一部としても活用できる可能性を秘めている。
Beatsの再躍進とオーディオ市場への影響
今回のBeats Pillの発表は、単なる新製品の登場以上の意味を持つと考えられる。Appleによる買収から約10年が経過し、Beatsブランドの方向性に注目が集まっていた中での新製品発表だ。
この新モデルの成功如何によっては、Beatsブランドの再評価や、ワイヤレススピーカー市場全体への影響も予想される。高音質と多機能性を兼ね備えた新型Beats Pillが、競合他社にどのような影響を与えるか、今後の展開が注目される。