富士通ゼネラル、TISのクラウド型経費精算システム「Spendia」を導入し業務効率化を実現

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    長年使用したメインフレームからの脱却と経費精算システムのクラウド化

    富士通ゼネラルは、30年以上にわたり使用してきたメインフレームからの脱却を決意し、クラウド型ERP「SAP S/4HANA」への移行計画を開始した。この大規模な変革の一環として、ホスト上で稼働していた経費精算システムも単独でクラウド化することを決定した。この動きは、デジタル変革の波に乗り遅れまいとする大手電機メーカーの姿勢を明確に示している。

    経費精算システムのクラウド化は、単なるシステム更新にとどまらず、業務プロセス全体の見直しと効率化を目指す取り組みだと言える。富士通ゼネラルのような大手企業がこうした変革に踏み切ったことは、日本企業全体のデジタル化推進の動きを加速させる可能性がある。

    紙ベースの申請からペーパーレス化へ、スマートフォン対応で利便性向上

    従来の経費精算プロセスでは、システムから出力した帳票に領収書を貼り付け、承認印を得てから経理部門に提出するという、紙ベースの非効率な方式が採用されていた。この方式は時間と労力を要するだけでなく、紙資源の無駄遣いにもつながっていた。

    新システムの導入により、富士通ゼネラルはペーパーレス化を実現し、さらにスマートフォンでの申請も可能にした。この変更により、社員の経費申請処理にかかる負担が大幅に軽減された。デジタル化とモバイル対応によって、いつでもどこでも簡単に経費申請ができるようになり、業務効率の向上が期待される。

    出張関連業務の効率化と外部予約サイトとの連携

    富士通ゼネラルの年間出張件数は、国内が3万件、海外が500件にも及ぶ。この規模の出張管理を効率的に行うため、新システムでは外部の予約サイトとの柔軟な連携が重要な要件の一つとなった。

    従来のシステムでは、出張者が個別に予約サイトで手配を行い、人事部が手作業でチケット代金などを入力して精算処理を行っていた。新システムの導入により、申請者が直接各サイトに遷移して予約できるようになり、さらに利用実績データが自動的にSpendiaに連携される仕組みが構築された。この改善により、出張関連業務の効率が飛躍的に向上し、人事部の負担も大幅に軽減されたと考えられる。

    Spendiaの選定理由と導入後の成果

    富士通ゼネラルがSpendiaを選んだ理由として、コストパフォーマンスの高さ、十分な機能性、ノーコードでの設定が可能な点、そしてTISによる導入支援への期待が挙げられている。これらの要素は、大規模なシステム移行を行う企業にとって非常に重要な選定基準だと言える。

    導入後の成果として、ペーパーレス化による帳票の廃止、請求書や領収書の電子化、PCやスマートフォンからの簡単な申請が可能になったことが挙げられている。また、承認依頼のメール自動通知機能により、承認者の負担も軽減された。

    経理部門においても、紙の証憑管理が不要になり、必要な領収書画像をすぐに確認できるようになったことで、業務効率が大幅に向上した。これらの成果は、単に経費精算システムを更新しただけでなく、業務プロセス全体を見直し、最適化した結果だと評価できる。

    今後の展望と他企業への影響

    富士通ゼネラルによるSpendiaの導入は、大手企業のデジタル変革の成功例として注目される。この事例は、他の企業にとっても参考になる点が多いと思われる。特に、長年使用してきたレガシーシステムからの脱却と、クラウドベースのソリューション採用による業務効率化の実現は、多くの日本企業が直面している課題に対する一つの解決策を示している。

    今後は、AIや機械学習技術を活用した経費分析や不正検知機能の強化、さらなるユーザビリティの向上などが期待される。また、グローバル展開を視野に入れた多言語対応や、より複雑な経費ポリシーへの対応など、システムの進化の余地は大きいと考えられる。

    富士通ゼネラルの取り組みが、日本企業全体のデジタル化推進とワークスタイル変革の起爆剤となることを期待したい。同時に、こうしたデジタル化の波が、単なる業務効率化にとどまらず、働き方改革や従業員満足度の向上にもつながることを願う。

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