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ヒューマンクリエイションHD、2030年までに4倍成長を目指す新経営方針を発表
株式会社ヒューマンクリエイションホールディングスは2024年11月14日、2024年9月期の通期決算を発表すると同時に、2030年9月期までの新たな中長期経営方針を公開した。同社は従来の3カ年中期経営計画を見直し、より長期的な視点で成長戦略を描き直した。
新経営方針では、2030年9月期までに1株当たり利益(EPS)を2024年9月期比で約4倍に引き上げ、自己資本利益率(ROE)30%超の達成を目指している。この野心的な目標の背景には、M&Aを含む積極的な投資戦略と事業構造の転換がある。
2024年9月期の業績と今後の成長戦略
2024年9月期の業績は、売上高7,165百万円(前期比10.5%増)、EBITDA759百万円(同7.3%減)、EPS246.23円(同7.0%減)となった。セグメント別では、戦略領域の売上高が2,190百万円(前期比4.2%増)、SES事業が4,975百万円(同13.5%増)となった。
戦略領域では大型案件の剥落やM&A効果の遅れが影響し、計画を下回る結果となった。一方、SES事業は人員拡大により売上高を伸ばしたものの、本格稼働までのタイムラグが想定以上にあり、計画比では未達となった。
新経営方針では、2027年9月期を第2ステージの最終年度と位置付け、M&Aを含む積極投資による規模拡大と事業構造の転換を図る。売上高目標を12,000百万円とし、うち戦略領域で5,000百万円(M&A効果3,000百万円を含む)を目指す。
第3ステージ(2028年9月期〜2030年9月期)では投資回収とシナジー創出に注力し、最終年度である2030年9月期にEPS1,000百万円(2024年9月期比4倍)、ROE30%超の達成を目指す。
新たな財務資本戦略と株主還元方針
同社は従来の株主還元方針に加え、新たに「自己資本比率40%以下」という基本方針を追加した。この方針は、資金効率の向上と株主期待に応えることを目的としている。
具体的には、M&Aを含む再投資に従来以上にコミットしつつ、十分な投資機会がない場合は自己資本比率が40%を超過する分を原資として、追加的な株主還元(自己株式取得等を含む)を実施する。
現在、同社の自己資本比率は40%を超過しており(2024年6月末41.3%、9月末44.8%)、2025年3月末までに資本構成の適正化が必要な状況にある。
この方針のもと、同社は2024年11月29日に自己株式140,000株(発行済株式の7.27%)を消却することを決定した。さらに、株式の流動性向上と投資家層拡大を目的に、2025年1月1日付で1株を2株に分割する株式分割も実施する。
ヒューマンクリエイションホールディングスは、新たな経営方針と財務戦略を通じて、中長期的な企業価値の向上と株主還元の両立を目指している。今後の成長戦略の実現と、M&Aを含む積極的な投資の成果が注目される。