マイナンバーカード義務化に騒動。政府の意図と国民の不安、その真相に迫る

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    携帯電話契約時の本人確認方法変更が引き起こした波紋

    政府は2024年6月18日、携帯電話契約時の本人確認方法に関する新たな方針を発表した。この発表は、マイナンバーカードの利用を原則とする内容だったため、国民の間に大きな波紋を広げることとなった。

    新方針によると、対面での携帯電話契約時には、事業者がマイナンバーカードなどに搭載されているICチップを読み取ることが義務付けられる。さらに、非対面での契約においては、従来の運転免許証画像送信による本人確認方法を廃止し、原則としてマイナンバーカードを用いた確認に一本化するとしている。

    この発表を受け、ソーシャルメディア上では批判の声が相次いだ。多くの国民が「マイナンバーカードは任意のはずではなかったのか」「これは事実上の強制ではないか」といった懸念を表明している。こうした反応は、マイナンバー制度に対する根強い不信感や、個人情報保護に関する懸念を反映しているものと考えられる。

    詐欺防止策としての有効性と課題

    政府がこのような方針を打ち出した背景には、増加の一途をたどる投資詐欺などの犯罪への対策がある。警察庁の統計によると、2024年1月から4月までの4か月間だけで、SNSを悪用した詐欺被害は2508件に上り、被害総額は約334億円に達している。

    これらの詐欺行為の多くは、不正に入手された携帯電話を用いて行われている。1日あたりの被害額は約3億円に上るとされ、その深刻さが浮き彫りとなっている。政府としては、この不正入手経路を断つためにも、マイナンバーカードによるIC確認が不可欠だと判断したものと推測される。

    全国紙の記者は、この点について次のように指摘している。「SIMスワップ詐欺など、偽造されたマイナンバーカードを使用した犯罪が多発していることは事実だ。マイナンバーカードのICチップ読み取りを義務付けることで、偽造カードによる被害を防ぐ効果は期待できるだろう」

    実際、マイナンバーカードの偽造に関連する事件は後を絶たない。2023年12月には大阪で中国籍の女性が、2024年5月にも別の中国籍の男性らが、自宅でマイナンバーカードを偽造した容疑で逮捕されている。こうした事例からも、本人確認方法の厳格化が急務であることがわかる。

    運転免許証との比較:なぜマイナンバーカードなのか

    しかし、ここで疑問が生じる。なぜICチップによる本人確認が、マイナンバーカードに限定されているのだろうか。運転免許証もまた、2007年から段階的にICチップ機能付きのものが導入されている。その背景には、精巧な偽造免許証の増加があった。

    運転免許証は2022年12月時点で約8200万人が取得しているとされる。これは、マイナンバーカードの普及率をはるかに上回る数字だ。詐欺防止の観点からも、より普及している運転免許証でのIC確認を認めることが理にかなっているように思える。

    経済ジャーナリストの荻原博子氏は、この点について次のような見解を示している。「運転免許証にもICチップが搭載されているのだから、それを読み取ることを義務付けるだけで十分なはずだ。政府がマイナンバーカードのICチップを読み取る専用アプリを開発するとしているが、その導入には時間がかかる。その間、詐欺被害を放置することになりかねない」

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