Salesforce、営業タスク特化型AIモデル「xGen-Sales」と「xLAM」で自律エージェント実現へ

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000247.000041550.html)より
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    Salesforceが次世代AIモデルを発表

    Salesforceは2024年9月11日、営業タスクに特化した新しいAIモデル「xGen-Sales」と大規模行動モデル「xLAM」を発表した。これらのモデルは、Salesforce AI Researchによって開発され、Agentforceプラットフォーム上で自律型AIエージェントを実現するために設計されている。

    xGen-Salesは、営業関連のタスクに特化したファインチューニングが施されたモデルだ。このモデルにより、顧客インサイトの生成、連絡先情報の充実、コールの要約、営業パイプラインのトラッキングなど、様々な営業タスクの自動化が可能となる。Salesforceの独自評価によると、xGen-Salesの能力は既に、はるかに大規模な他のモデルを凌駕しているという。

    一方、xLAMは複雑なタスクを処理し、実用的なアウトプットを生成するために設計された大規模行動モデル群だ。xLAMファミリーには、Tiny(1B)、Small(7B)、Medium(8x7B)、Large(8x22B)の4つのモデルが含まれる。これらのモデルは、従来の大規模言語モデル(LLM)とは異なり、他のシステムやアプリケーション内で機能を実行する関数呼び出しに特化している。

    AIエージェントによる業務効率化の可能性

    xGen-SalesとxLAMの組み合わせにより、Salesforceの顧客は行動を起こす自律的なAIエージェントを迅速に設定して展開することが可能となる。これらのAIエージェントは、従業員の仕事を補強し、より戦略的な優先事項に集中できるようサポートする。

    Salesforceのチーフ・サイエンティスト、シルビオ・サバレーゼ氏は、「Agentforceにより、自社のビジネス向けの適切なサイズのモデルを提供し、お客様はデータに基づいて成果を上げることができるようになる」と述べている。

    xLAMモデルの特徴と優位性

    xLAMモデルの開発には、Salesforce AI Researchが独自に作成した高品質な合成データ生成パイプライン「APIGen」が使用された。Salesforceの評価によると、xLAM 8x22bモデルはBerkeley Leaderboardsの関数呼び出し部門でGPT-4を上回り、1位にランクインした。また、xLAM-8x7bモデルも6位にランクインしており、いずれも自身の何倍ものサイズのモデルを凌駕している。

    xLAMファミリーの各モデルは、それぞれ異なる用途に最適化されている。例えば、Tiny(xLAM-1B)はオンデバイスアプリケーションに適しており、スマートフォンなどのリソースが限られたデバイス上でローカルに実行できる。一方、Large(xLAM-8x22B)は、一定レベルの計算資源を持つ組織が最適なパフォーマンスを達成するために設計されている。

    Salesforceが描く AI駆動型営業の未来

    Salesforceのプロダクトマネジメント担当SVP、マリーアン・パテル氏は、「Salesforceは、営業担当者がAIによって強化され、営業効率を促進し、顧客へ集中するために貴重な時間を解放することを支援する未来を描いている」と語っている。xGen-Salesモデルは、まさにこのビジョンを実現するためのツールとして開発された。

    新AIモデルの提供時期と今後の展望

    xLAMスイートの非商用オープンソース版は、既にHugging Faceで公開されており、コミュニティのレビューとベンチマークテストが可能となっている。さらに高度な独自バージョンは、Agentforceに搭載される予定だ。

    一方、xGen-Salesはパイロットを完了し、間もなく一般提供が開始される見込みだ。これらの新しいAIモデルの登場により、企業の営業活動は大きく変革される可能性がある。AIが日常的な業務タスクを自動化することで、営業担当者はより戦略的な活動に注力できるようになるだろう。

    AIモデルの倫理的側面と今後の課題

    Salesforceは、これらの新しいAIモデルの開発にあたり、ユーザー企業のSalesforce利用データを学習データに含めていないことを明確にしている。このような倫理的配慮は、AI技術の信頼性と透明性を確保する上で重要だ。

    しかし、AIの急速な進化に伴い、新たな課題も浮上している。例えば、AIエージェントの判断の正確性や、人間の監督の必要性、データプライバシーの問題などが挙げられる。これらの課題に対して、Salesforceを含む企業や研究機関が今後どのように取り組んでいくかが注目される。

    AIの進化は営業活動だけでなく、ビジネス全体に大きな影響を与える可能性がある。企業はAI技術を効果的に活用しつつ、倫理的な配慮も怠らないバランスの取れたアプローチが求められるだろう。Salesforceの新AIモデルの実用化と普及が、この分野でどのような変革をもたらすか、今後の展開が期待される。

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