インドネシア29都市で「Acasia2.0」導入、TISが渋滞解消と低炭素化に挑む

    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001626.000011650.html)より
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    TISインテックグループが革新的な交通決済システムを展開

    TISインテックグループのTIS株式会社は、インドネシアの29都市において、交通決済パッケージ「Acasia2.0」の導入を決定したと発表した。この取り組みは、インドネシアの地方都市における交通渋滞解消や低炭素化を目指すものだ。TISは、インドネシアの現地企業PT Aino Indonesiaと共同で開発した「Acasia2.0」を通じて、公共交通機関の利便性向上と効率化を図る。

    「Acasia2.0」が解決するインドネシアの交通課題

    インドネシアの都市部では、自家用車やバイクの利用が主流となっており、深刻な交通渋滞や大気汚染が社会問題となっている。政府は公共交通機関へのシフトを重要施策として掲げているが、高い現金決済比率や交通機関ごとの決済手段の違いなど、多くの課題が存在していた。

    「Acasia2.0」は、ICカードやモバイルQRコードを利用したキャッシュレス決済を可能にし、複数の交通機関にまたがるルート検索や予約、運賃計算を一元化する。システムの導入により、利用者の利便性向上だけでなく、交通事業者の運行効率化やデータ活用も期待できる。

    地方都市への展開でインドネシア全土のスマートシティ化を促進

    TISは2018年にPT Aino Indonesiaと提携し、首都ジャカルタで「Acasia」を活用したサービスを提供してきた。今回の「Acasia2.0」は、地方都市でも導入しやすいようにマルチテナント型に改修されている。12州29市にわたる15の交通事業者への導入が決定しており、2024年度中には全ての事業者での導入完了が予定されている。

    「Acasia2.0」がもたらす多面的な効果

    「Acasia2.0」の導入は、単なる交通決済システムの刷新にとどまらない。公共交通機関のキャッシュレス化推進により、利用者の利便性が大幅に向上する。同時に、自家用車から公共交通機関へのシフトを促進し、渋滞緩和とCO2排出削減に貢献する。さらに、収集された乗降データは、運行計画の最適化や新たな交通サービスの開発に活用できる可能性がある。

    TISとPT Aino Indonesiaの協働がもたらす革新

    TISとPT Aino Indonesiaの協働は、日本の技術力とインドネシアの現地ニーズを融合させた好例と言える。PT Aino Indonesiaは、インドネシア国立ガジャマダ大学のベンチャー育成機関を母体とする企業で、公共交通や観光施設の電子決済化を推進してきた実績がある。TISの資本参加により、両社の強みを生かした事業展開が可能となった。

    「Acasia2.0」の技術的特徴

    「Acasia2.0」は、多様な決済手段に対応する柔軟性が特徴だ。ICカードやモバイルQRコードでの決済に加え、現地で調達可能な3rd Party端末との接続も可能としている。また、乗務員向けの運賃精算管理アプリや、交通事業者向けのダッシュボード機能など、運用面でのサポートも充実している。

    ASEANへの展開と都市マネジメントの未来

    TISは「Acasia2.0」のインドネシア地方都市への展開を皮切りに、同様の課題を抱えるASEAN諸国への拡大を視野に入れている。また、交通決済プラットフォームを通じて収集される高質なビッグデータを活用した、新たな交通・都市マネジメントサービスの開発も計画している。

    データ駆動型の都市開発への貢献

    「Acasia2.0」を通じて収集されるデータは、単なる交通利用状況の把握にとどまらない。人々の移動パターンや都市の動態を詳細に分析することで、より効率的な都市計画や公共サービスの提供が可能となる。TISは、このデータを活用した新たなビジネスモデルの創出も視野に入れており、スマートシティ実現に向けた総合的なソリューション提供者としての地位を確立しようとしている。

    日本企業の技術力がアジアの都市問題を解決

    TISの取り組みは、日本企業の技術力や知見が、アジアの急速な都市化に伴う問題解決に貢献できることを示している。交通システムの効率化は、単に移動の利便性を高めるだけでなく、エネルギー消費の削減や経済活動の活性化にもつながる重要な要素だ。

    今後、「Acasia2.0」のような統合的な交通決済システムは、アジア各国のスマートシティ構想において重要な役割を果たすことが予想される。TISの事例は、日本企業が持つ技術やノウハウを活かし、グローバルな社会課題解決に貢献できる可能性を示唆している。

    インドネシアでの成功を足がかりに、TISがアジア全体のスマートシティ化にどのような影響を与えていくのか、今後の展開が注目される。

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