東海地方初のメタバース大型イベント、業界注目の的に
名古屋市中区で2024年9月28日、メタバースとXR技術の最前線を体験できる大型イベント「Metapavilion~XR Nagoya~」が開催される。このイベントは、首都圏に集中しがちなメタバース・XR関連の交流の場を地方にも広げる取り組みの一環として企画された。MIN合同会社が主催し、FabCafe Nagoyaを会場に、業界をリードする企業や専門家が一堂に会する注目のイベントとなっている。
入場は無料で、メタバースやXR技術に興味を持つ一般の人々から、業界関係者まで幅広い参加者が見込まれている。イベントは午後1時から午後5時30分まで開催され、最新のXR技術や文化に触れる貴重な機会を提供する。
豪華講演陣が集結、最新のXR動向を語る
日本語話者VRChatコミュニティの可能性
イベントのハイライトの一つは、充実したトークイベントだ。日本語話者VRChatコミュニティ「フジヤマ」のちはや氏が登壇し、VR空間における日本語コミュニティの組織化やメタバース連携の可能性について講演を行う。VRChatを通じた新しいコミュニケーションの形や、言語の壁を越えた交流の可能性について、興味深い洞察が得られるだろう。
HIKKYが語るWebメタバースの未来
株式会社HIKKYからは、Webメタバースサービス「Vket Cloud」のプロジェクトマネージャーである日置則子氏が登壇する。HIKKYは、大規模なバーチャルマーケット「Vket」の運営で知られる企業だ。日置氏は、PRライターとしてHIKKYに参画した経験を持ち、現在はフルリモートで勤務しながらプロジェクトを牽引している。Webブラウザから気軽にアクセスできるメタバースの可能性や、地方在住者のリモートワークの実態など、興味深い話題が期待される。
大丸松坂屋百貨店のメタバース戦略
大手百貨店のメタバース展開にも注目が集まる。大丸松坂屋百貨店のメタバース事業に立ち上げ時から参画している福澤滉也氏が、百貨店業界におけるXR技術の活用について語る。VRイベントやバーチャル写真展の企画、BtoB領域でのメタバース活用など、伝統的な小売業がどのようにデジタル変革を進めているのか、貴重な事例を聞くことができるだろう。
錯覚研究の第一人者が語るXRの可能性
学術的な観点からXR技術の可能性を探る講演も行われる。名古屋市立大学芸術工学研究科准教授の小鷹研理氏が登壇し、錯覚研究とXR技術の接点について語る。小鷹氏は、世界錯覚コンテストで4年連続入賞するなど、錯覚研究の第一人者として知られる。著書『からだの錯覚』や『身体がますますわからなくなる』で注目を集めた小鷹氏の講演は、XR技術が人間の知覚にもたらす影響や、新たな表現の可能性について、深い洞察を提供するだろう。
多彩な展示で最新XR技術を体験
錯覚の仕組みを直接体験
イベント会場では、小鷹研究室による展示も行われる。来場者は簡単に体験できる錯覚の仕組みを通じて、人間の知覚の不思議さを直接感じることができる。この展示は、XR技術の基盤となる人間の知覚メカニズムへの理解を深める貴重な機会となるだろう。
VRエンタテインメントの最前線
VRエンタテインメントユニット「X of foX」による展示では、漫才やコントなどの動画上映が行われる。VR空間ならではのユーモアや表現方法を楽しむことができ、エンターテインメントの新たな可能性を感じられるだろう。
XRエンジニアの作品展示
XRエンジニアの癒色えも氏による展示では、MRライブ体験やメタバースでのキャリアカウンセリング資料などが公開される。技術と社会の接点を探る興味深い展示となりそうだ。
メタバースPRの最前線
「ソーシャルノバ」による展示では、メタバースとリアルを融合したPR手法や、コミュニティ形成のノウハウが紹介される。新しいマーケティング手法に興味のある企業関係者にとって、貴重な情報源となるだろう。
手軽に参加できるメタバース展示会
「メタコミ」のブースでは、アプリダウンロードやアカウント作成不要で参加できるメタバース展示会の体験ができる。メタバースに興味はあるが、敷居が高いと感じている人々にとって、最適な入門となりそうだ。
VRで茶道体験
「VRC茶道部」のブースでは、メタバースでの本格的な茶道体験が紹介される。伝統文化とXR技術の融合という、一見ミスマッチに思える組み合わせがどのような化学反応を起こすのか、注目の的だ。
バーチャルキャンプの魅力
「VirtualCampers」のブースでは、仮想世界でのキャンプ体験が紹介される。自然を身近に感じられない都市生活者にとって、新しいアウトドア体験の可能性を示唆する展示となりそうだ。
VRロボットパイロット体験
「ギアズクロニカル」のブースでは、VRで人型ロボットのパイロット体験ができる。SF映画の世界を現実に近づける技術に、多くの来場者が興奮するだろう。
メタバースで地方創生
「合同会社未来創世塾」のブースでは、メタバースを活用した地方創生の取り組みが紹介される。クリエイターや自治体、企業とのコラボレーションの可能性を探る場となりそうだ。
AR名刺の衝撃
「カボチャ紳士の宵」のブースでは、飛び出すAR名刺が展示される。ビジネスツールとXR技術の融合が、どのような新しい可能性を生み出すのか、注目が集まる。
イベント開催の背景と狙い
このイベントは、メタバースとリアルの垣根を取り払い、新しい文化やビジネス、才能を発掘することを目的としている。主催者は、東京や大阪などの大都市圏以外でもメタバースのリアルイベントを開催することで、地方に眠る潜在的な可能性を引き出せると考えている。
現在、メタバースの大型リアルイベントは主に東京や大阪で開催されており、地方のユーザーや事業者にとっては参加が難しい状況にあった。このイベントは、そうした地理的な障壁を取り除き、メタバース・XR技術の裾野を広げる試みとなっている。
主催のMIN合同会社は、メタバースなどの新規分野での起業を支援する専門家チームだ。税務や法律の面からのサポートを提供し、新しいビジネスの創出を後押ししている。このイベントを通じて、メタバース・XR技術に触れる機会を提供するとともに、地域の企業や事業者との新たなビジネス創出の場を作ることを目指している。
今後の展望
「Metapavilion~XR Nagoya~」の開催は、メタバース・XR技術の普及と地方創生の両面で大きな意義を持つ。このイベントを起点に、名古屋を中心とする東海地域がXR技術の新たな拠点として成長する可能性がある。
また、このイベントモデルが成功すれば、他の地方都市でも同様のイベントが開催される可能性が高い。メタバース・XR技術の全国的な普及が加速し、地域の特色を活かした新しいビジネスや文化の創出につながるかもしれない。
「Metapavilion~XR Nagoya~」は、技術と文化、ビジネスの融合点として、多くの人々の注目を集めるだろう。XR技術の未来を垣間見るこの機会を、多くの人々が活用することが期待される。