JCB導入のテラスカイ「Flosum」がSalesforce開発効率を劇的に向上、作業時間30%削減を実現

    画像:株式会社テラスカイ(www.terrasky.co.jp/flosum/)より

    株式会社テラスカイが提供するSalesforceリリース管理ツール「Flosum」の導入により、株式会社ジェーシービー(JCB)のSalesforce開発効率が飛躍的に向上した。Flosumの導入によって、JCBはエンジニアのリリース作業時間を最大30%削減し、開発に注力する時間を増やすことで生産性の大幅な改善を達成した。

    目次

    Flosumがもたらす革新的なSalesforce開発環境

    Flosumは、Salesforceのリリース管理や継続的インテグレーション(CI)の運用を効率化するアプリケーションだ。システムのリリースやバージョン管理など、開発者やシステム担当者にとって負担の大きい作業工数を大幅に削減する機能を持つ。Salesforceの開発やリリースを大規模かつ頻繁に行う企業を中心に、国内での導入が急速に拡大している。

    Flosumの特筆すべき点は、100%Salesforceプラットフォーム上で稼働することだ。既存のSalesforce環境との親和性が高く、導入や運用のハードルが低いことが、多くの企業に受け入れられている理由の一つと考えられる。

    JCBにおけるFlosum導入の背景と効果

    JCBのFlosum導入は、同社のSalesforce活用戦略の転換点となった。Salesforceの活用領域拡大に伴う課題を解決するだけでなく、開発プロセス全体の効率化と品質向上をもたらした。Flosumの導入によって得られた具体的な効果を詳細に見ていくことで、大規模企業におけるクラウド開発の効率化がもたらす影響の大きさが明確になる。

    Salesforce活用領域の拡大に伴う課題

    JCBは2011年以降、Salesforceを積極的に導入してきた。当初は加盟店部門の事務用システム基盤として導入されたが、その後、大型法人向けの営業支援システムなど、徐々に活用領域を拡大していった。Salesforceシステムの増加に伴い、各システムの開発やリリースの頻度も増加。その結果、リリース時の作業工数の効率化と作業品質の安定化が大きな課題となっていた。

    この課題に直面したJCBは、単なる作業の効率化だけでなく、開発プロセス全体の見直しが必要だと判断した。Flosumの導入は、この戦略的な判断の結果であり、単なるツール導入以上の意味を持つものだった。

    Flosum導入による具体的な改善効果

    Flosumの導入により、JCBは以下のような具体的な効果を得ることができた。

    1. リリース作業時間の大幅削減/Salesforce標準の変更セットと比較して、リリースにかかる作業時間が10〜30%削減された。
    2. 作業の自動化によるミス削減/一部の作業が自動化されたことで、人為的ミスが大幅に減少した。
    3. 管理工数の削減/自動化により、リリース作業の管理に必要な工数も削減された。
    4. 品質の向上/自動化と標準化により、リリース作業の品質が安定し、向上した。

    これらの改善効果は、単に数字上の効率化だけでなく、JCBのSalesforce開発チーム全体の働き方や、ビジネス部門との関係性にも大きな影響を与えた。開発チームがより戦略的な業務に注力できるようになったことで、ビジネス価値の創出につながる開発が可能になったのだ。

    エンジニアの生産性と満足度の向上

    JCBインフラ開発部OAインフラグループの安富次長は、Flosumの導入効果について次のように評価している:

    「リリース作業の短縮化により、エンジニアは開発工程に一層注力できるようになりました。その結果、業務部門からリクエストされる機能拡張や改善要望についても、柔軟な対応が可能になりました。開発に注力し、業務部門からのリクエストに応えやすくなったことは、エンジニアのモチベーション維持や定着に寄与していると、Flosumを高く評価しています。」

    また、リリース作業の品質確保にかかるJCBの管理コストも削減できたという。手作業のミスを抑制し、より安定的なリリース作業を実現できているとして、Flosumの導入効果を高く評価している。

    この評価からわかるのは、Flosumの導入が単なる作業効率の向上だけでなく、エンジニアの仕事の質と満足度を高める効果があったということだ。技術者の不足が叫ばれる現在、優秀なエンジニアの維持・確保は企業にとって重要な課題である。Flosumの導入がこの課題解決にも寄与している点は、特筆に値する。

    テラスカイの戦略とクラウド市場での位置づけ

    テラスカイは、クラウド創成期からクラウドに取り組んできたリーディングカンパニーだ。2006年の設立以来、クラウド時代の到来をいち早く捉え、Salesforceのコンサルティングパートナーとして、導入・普及に取り組んできた。

    同社の導入実績は金融、保険業界をはじめ医療、サービスなど業界を問わず7000件を超え、日本のコンサルティングパートナーではトップクラスの導入実績数を誇る。また、多くの実績から得られた知見を基に、Flosumのような開発効率を飛躍的に改善するクラウドサービスの開発・提供を行っている。

    テラスカイの戦略は、単なるSalesforceの導入支援にとどまらず、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を総合的に支援することにある。Flosumのような独自のツール開発は、こうした戦略の一環として位置づけられる。

    この戦略は、クラウド市場が成熟期に入り、単なる導入支援だけでは差別化が難しくなってきた現状を反映している。テラスカイは、顧客企業の業務プロセス改善や新規ビジネス創出まで含めた包括的なサポートを提供することで、競争力を維持・強化している。

    Flosumの開発と提供は、この戦略の具体的な成果の一つと言える。顧客企業の開発プロセスを効率化し、DXを加速させるツールを自社開発することで、テラスカイは単なるコンサルティング企業から、クラウドソリューション・プロバイダーへと進化を遂げている。

    クラウド開発の未来と日本企業の課題

    JCBのケースは、日本企業がクラウド開発、特にSalesforceを活用したシステム開発において直面している課題と、その解決策を示唆している。

    多くの日本企業では、クラウドサービスの導入が進む一方で、開発・運用の効率化が追いついていないケースが少なくない。特に大規模な企業では、複数のクラウドシステムが並行して運用されることも多く、それらの統合的な管理や効率的な開発・リリースプロセスの確立が課題となっている。

    Flosumのようなツールの活用は、こうした課題に対する一つの解決策となり得る。しかし、ツールの導入だけでなく、開発プロセス全体の見直しや、エンジニアのスキル向上、組織文化の変革など、総合的なアプローチが必要となるだろう。

    日本企業特有の課題として、従来型の開発手法や組織構造からの脱却の難しさがある。多くの企業では、ウォーターフォール型の開発手法が根強く残っており、アジャイル開発やDevOpsの導入に苦戦している。また、IT部門とビジネス部門の連携不足も、クラウド開発の効果を最大限に引き出す上での障害となっている。

    これらの課題を克服するためには、トップマネジメントのコミットメントと、組織全体での意識改革が不可欠だ。JCBの事例は、こうした変革を成功させるためのロードマップを提示していると言える。

    結論

    JCBによるFlosumの導入事例は、クラウド時代における開発効率化の重要性と、それがもたらす大きな可能性を示している。リリース作業時間の削減やエンジニアの生産性向上は、単に社内の業務効率を高めるだけでなく、顧客サービスの迅速な改善や新サービスの開発スピード向上にもつながる。

    今後、さらに多くの企業がFlosumのようなツールを活用し、クラウド開発の効率化を進めていくことが予想される。こうした動きは、日本企業全体のデジタル競争力向上にも寄与するものと期待される。テラスカイをはじめとするクラウドサービス提供企業の今後の展開にも注目が集まるところだ。

    クラウド開発の効率化は、単なるコスト削減や作業時間短縮以上の意味を持つ。それは、企業のデジタル変革を加速し、新たなビジネス価値を創出する原動力となる可能性を秘めている。JCBとテラスカイの取り組みは、その可能性を具体的に示す先進事例として、多くの日本企業にとって貴重な指針となるだろう。

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