バッファローが中小企業のIT課題に挑む、NASリモート設定機能で業務効率化を実現

    バッファローが2024年9月下旬から、法人向けNAS「TeraStation」シリーズに新機能を追加する。リモート管理サービス「キキNavi」を通じて、遠隔地からNASの設定変更が可能となるリモート設定機能を無料で提供開始する。この新機能により、中小企業のIT人材不足や働き方改革の課題に対する解決策を提示している。

    目次

    中小企業が直面するIT管理の課題

    近年、中小企業は深刻なIT人材不足に直面している。同時に、働き方改革の一環として残業時間の制限にも取り組む必要性が高まっている。バッファローが実施した独自調査によると、中小SIerの半数以上がネットワーク機器の保守・管理にリモート管理サービスを利用していないことが判明した。その理由として、利用料金の高さが挙げられている。

    さらに、リモート管理サービスを利用していない中小SIerの6割以上が、現地対応の工数増加による業務負担を感じていることも明らかになった。この状況は、中小企業のIT管理における効率化の必要性を示唆している。

    「キキNavi」によるリモート設定機能の詳細

    バッファローが提供するリモート管理サービス「キキNavi」に、新たにNASのリモート設定機能が追加される。この機能により、遠隔地に設置されたNASに対して、インターネット経由でWeb設定画面にアクセスし、様々な設定変更や障害対応をリモートで行うことが可能となる。

    リモート設定機能の主な特徴

    リモート設定機能を使用することで、以下のような作業をリモートで実施できるようになる:

    1. ユーザー追加
    2. アクセス権限変更
    3. 共有フォルダー設定
    4. バックアップ設定変更
    5. 設定情報一覧のダウンロード

    従来、現地訪問が必要だったこれらの作業をリモートで行えるようになることで、管理者の負担が大幅に軽減されると期待される。

    複数人での機器管理が可能に

    「キキNavi」では、登録されたユーザー(担当者)ごとに、管理する機器に対する権限を設定できる。監視、簡易操作、リモート設定といった権限を担当者ごとに割り当てることが可能だ。この機能により、機器管理を複数人で分担して行うことができ、組織全体の業務効率化につながる可能性がある。

    対象機種と提供開始時期

    リモート設定機能は、以下の「TeraStation」シリーズに対応する:

    • TS5020シリーズ
    • TS5010シリーズ
    • TS3030シリーズ
    • TS3020シリーズ

    バッファローは、TS7010シリーズとTS6000シリーズにも順次対応していく予定だと発表している。2024年9月下旬より、対応機種のファームウェアアップデートを通じて、この新機能を無料で提供開始する。

    「キキNavi」の全体像と セキュリティ対策

    「キキNavi」は、インターネットを介して遠隔のNAS、法人ルーター、アクセスポイント、スマートスイッチと管理者をつなぐ総合的なリモート管理サービスだ。HTTPS通信が可能な環境であれば、特別なネットワーク設定なしで利用できる点が特徴となっている。

    主な機能と利点

    1. 対応機器の状態を常時監視
    2. 障害発生時の即時管理者通知
    3. 遠隔での機器状態監視
    4. リモートでの機器再起動、デバッグログ取得、ファームウェアアップデート実行

    これらの機能により、現場への出向を最小限に抑えつつ、効率的な機器管理が可能となる。結果として、機器管理者の負荷を大幅に軽減することができる。

    セキュリティ面での配慮

    「キキNavi」は、セキュリティ面でも配慮がなされている。不正ログインを防止するための「2要素認証機能」に対応しており、ユーザーは安心してサービスを利用できる。この機能は、特に重要なデータを扱う企業にとって、セキュリティリスクを軽減する上で重要な役割を果たすと考えられる。

    新機能がもたらす業界への影響

    バッファローが提供するこの新機能は、中小企業のIT管理における課題解決に大きく貢献する可能性がある。リモートでのNAS管理が可能になることで、以下のような効果が期待できる:

    1. 管理工数の削減
    2. 現地訪問回数の減少
    3. 残業時間の削減

    これらの効果は、IT人材不足に悩む中小企業にとって、大きな意味を持つ。特に、SIerや IT/OA機器を販売する中小企業にとっては、業務効率化の手段として注目される可能性が高い。

    また、この新機能の無料提供は、中小企業のコスト削減にも寄与する。従来、高額な利用料金が障壁となっていたリモート管理サービスが、無料で利用可能になることで、より多くの企業が導入を検討するきっかけとなるだろう。

    今後の展開と業界への影響

    バッファローのこの取り組みは、中小企業のIT管理における新たな標準を作り出す可能性がある。リモート管理の普及により、IT管理者の働き方が大きく変わることが予想される。現地訪問の減少は、移動時間の削減やワークライフバランスの改善にもつながるだろう。

    さらに、この動きは他のIT機器メーカーにも影響を与える可能性がある。競合他社も同様のサービスを提供し始めることで、業界全体でのリモート管理の標準化が進む可能性がある。結果として、中小企業のIT環境の整備が加速し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にも寄与するかもしれない。

    バッファローの新機能提供は、単なる製品アップデートにとどまらず、中小企業のIT管理の在り方を変える可能性を秘めている。今後の展開と業界への影響を注視する必要があるだろう。

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