大洲市が独自の関係人口プラットフォーム「大洲カンパニー」を始動
愛媛県大洲市の観光地域づくり法人(DMO)である一般社団法人キタ・マネジメントが、画期的な取り組みを開始した。市内外の人々との関係人口創出を目的とした「大洲カンパニー」というプラットフォームの運用を8月20日より開始する。この取り組みは、観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」の一環として実施されるものだ。
「大洲カンパニー」という名称には深い意味が込められている。「カンパニー」の語源は「一緒にパンを食べる人たち」や「仲間」を意味し、大洲に関わってきた人々と、これから関わる人々を繋ぐ役割を果たすことが期待されている。このプラットフォームを通じて、地域との新たな関わり方を共に創出していくことが目指されている。
オンラインコミュニティアプリ「FANTS」を活用した交流促進
「大洲カンパニー」の中核を成すのが、オンラインコミュニティ専用サービスアプリ「FANTS(ファンツ)」だ。このアプリ上で、体験プログラムやイベントが掲載され、大洲市の住民や登録者同士が交流できる場が提供される。さらに、実際に大洲市を訪れてプログラムに参加することで、より深い関係人口の創出が図られる。
また、専用サイトの立ち上げも予定されており、今後はそのサイト内で移住に役立つ空き家情報等も掲載される予定だ。これにより、大洲市への移住を検討している人々にとっても有用な情報源となることが期待される。
「大洲博」東京・松山で開催、地元事業者との交流機会を提供
「大洲カンパニー」の周知を図るため、首都圏近郊および愛媛県内の人々を対象とした「大洲博」が開催される。8月23日・24日に東京で、9月15日に松山で実施されるこのイベントでは、地元で活躍する事業者と直接交流できる機会が設けられる。
地元事業者5社が自慢の商品を販売、交流会も開催
東京会場では、地元の5つの事業者が自慢の商品を販売するほか、参加者との交流会も予定されている。これは単なる物販イベントではなく、大洲市の魅力を直接伝える貴重な機会となるだろう。
参加予定の事業者には、合同会社Sa-Rah / 商舗・廊 村上邸、株式会社アライ / 臥龍醸造、株式会社うなぎの寝床、OZU+(オオズプラス)、LINK WOOD DESIGNなどが名を連ねている。各事業者が持つ独自の魅力や、大洲市との関わりを知ることができる貴重な機会となりそうだ。
リーダーシップ研修プログラムで企業研修誘致も狙う
大洲市は、これまでに町再生の取り組みを学ぶ研修で多くの訪問者を受け入れてきた実績がある。この経験を活かし、新たに「自己拡張」できるリーダーシップ研修プログラムを造成した。
「ウェルビーイングリーダーシップ研修説明会」を同時開催
「大洲博」の開催に合わせて、企業の人事部や幹部人材育成に興味のある人を対象とした研修プログラムの説明会も実施される。この取り組みは、研修という新たな切り口で関係人口を増加させることを目指している。
大洲市が持つ独特の魅力や、町再生の取り組みから得られた知見を活かした研修プログラムは、企業にとっても魅力的な選択肢となる可能性がある。また、研修参加者が大洲市のファンとなり、リピーターとして訪れることも期待できるだろう。
今後の展開と期待される効果
「大洲カンパニー」の始動と、東京・松山での「大洲博」開催は、大洲市の観光まちづくりに大きな影響を与えると考えられる。オンラインとリアルの両面で関係人口を創出・拡大する取り組みは、他の地方自治体にとっても参考になる先進的な事例となるだろう。
特に、地元事業者との直接的な交流機会の提供や、企業研修の誘致など、多角的なアプローチは注目に値する。これらの取り組みが成功すれば、単なる観光客の増加だけでなく、大洲市に深く関わる人々の増加につながる可能性がある。
さらに、移住情報の提供なども含めた包括的な戦略は、将来的な定住人口の増加にも寄与する可能性がある。「大洲カンパニー」を中心とした施策が、大洲市の持続可能な発展にどのように貢献していくのか、今後の展開が注目される。