Raspberry Pi Pico 2登場、性能2倍・セキュリティ強化の新マイコンが開発者を魅了

    Raspberry Pi Pico 2
    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000064534.html)より

    Raspberry Pi財団が2024年8月9日、高性能かつセキュアな新マイコン「RP2350」を搭載した開発ボード「Raspberry Pi Pico 2」を発表した。この新製品は、従来のPicoシリーズと比較して大幅な性能向上とセキュリティ機能の強化を実現しており、IoT開発者やメイカーの間で大きな注目を集めている。

    目次

    新世代マイコン「RP2350」の革新的機能

    RP2350は、Raspberry Pi財団が独自に開発した最新のマイコンチップだ。このチップは、Cortex-M用のArm TrustZoneを中心とした包括的なセキュリティアーキテクチャを提供している。署名付きブート、8 KBのアンチヒューズOTPによるキーストレージ、SHA-256アクセラレーター、ハードウェアTRNG、高速グリッチ検出器などの機能が組み込まれており、IoTデバイスのセキュリティ要件に応える設計となっている。

    従来のセキュリティ対策では、ベンダーが提供する「隠ぺいによるセキュリティ」が一般的だったが、RP2350ではすべての機能が広範囲にドキュメント化され、制限なく利用可能だ。この透明性の高いアプローチは、開発者にとって大きな利点となるだろう。セキュアブートROMを含むこれらの機能は、IoT製品の設計者が安心して利用できる環境を提供している。

    デュアルコア・デュアルアーキテクチャの採用

    RP2350の特筆すべき特徴として、デュアルコア・デュアルアーキテクチャ機能が挙げられる。ユーザーは、業界標準のArm Cortex-M33コアのペアと、オープンハードウェアのHazard3 RISC-Vコアのペアから選択できる。この柔軟性により、開発者は自身のプロジェクトに最適なアーキテクチャを選択できるようになった。RISC-Vアーキテクチャの採用は、オープンソースハードウェアの世界に新たな可能性をもたらすものと考えられる。

    Raspberry Pi Pico 2の進化した性能

    Raspberry Pi Pico 2は、RP2350チップを搭載した開発ボードだ。旧来のPicoシリーズと比較して、コアクロックが向上し、SRAMとオンボードフラッシュが倍増している。また、強力になったArmコアとオプションのRISC-Vコアの搭載により、処理性能が大幅に向上している。

    ハードウェア仕様の詳細

    Raspberry Pi Pico 2の主要な仕様は以下の通りだ。外形寸法は21 mm × 51 mmと、従来のPicoと同じコンパクトなサイズを維持している。CPUは、デュアルArm Cortex-M33またはデュアルRISC-V Hazard3プロセッサを150 MHzで動作させる。メモリは520 KBのオンチップSRAMと4 MBのオンボードQSPIフラッシュを搭載している。

    インターフェースとして、26個の多目的GPIOピン(うち4ピンはADCとして使用可能)、USB Micro-B、デバッグピン(SWD)を備えている。また、2つのUART、2つのSPIコントローラ、2つのI2Cコントローラ、16のPWMチャンネル、USB 1.1コントローラ&PHY(ホスト/デバイス両対応)、12のPIOステートマシンなど、豊富なペリフェラルを搭載している。

    ソフトウェア開発環境の充実

    Raspberry Pi Pico 2は、C/C++およびPythonでプログラム可能だ。詳細なドキュメントが付属しており、メイカーからプロの開発者まで、幅広いユーザーにとって理想的なマイコンボードとなっている。また、従来のPicoシリーズとのハードウェア・ソフトウェアの互換性も維持されているため、既存のプロジェクトを新しいハードウェアに移行する際の障壁も低い。

    スイッチサイエンスの新製品「Picossci 2」シリーズ

    株式会社スイッチサイエンスは、Raspberry Pi Pico 2の販売開始に加え、独自の「Picossci 2」シリーズの開発を進めている。このシリーズには、ピッチ変換基板、Conta™規格のベースボード、Conta™規格標準モジュール外形の小型基板、SparkFun社製マイコンボード「Pro Micro」形状のピッチ変換基板などが含まれる予定だ。

    Conta™規格の採用

    Conta™規格は、breakout基板の外形・コネクタ・信号配列などに一定の規約を設けることで、各基板間の相互接続性を確保するための規格だ。この規格の採用により、「Picossci 2」シリーズは高い拡張性と互換性を実現している。開発者やメイカーにとって、モジュール化された開発環境を構築しやすくなるものと期待される。

    新製品の市場投入と今後の展望

    Raspberry Pi Pico 2は、スイッチサイエンスのウェブショップにて990円(税込)で販売される予定だ。型番はRPI-SC1631となっている。また、RP2350チップ単体や「Picossci 2」シリーズについても、準備が整い次第販売が開始される見込みだ。

    Raspberry Pi財団は、2040年1月までの製品供給を予定している。長期的なサポートが約束されていることは、産業用途での採用を検討する企業にとって大きな安心材料となるだろう。

    新しいRP2350チップとRaspberry Pi Pico 2の登場は、IoT開発やエッジコンピューティングの分野に大きなインパクトを与えると考えられる。高性能化とセキュリティ強化により、より複雑なアプリケーションの開発が可能になるとともに、セキュアなIoTデバイスの実現が容易になる。また、RISC-Vアーキテクチャのサポートは、オープンソースハードウェアの普及にも貢献するだろう。

    今後、Raspberry Pi Pico 2を活用した様々な革新的プロジェクトや製品が登場することが期待される。教育分野からプロフェッショナルな開発現場まで、幅広い層に新たな可能性をもたらす製品として、その動向が注目される。

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