広島県庄原市で母子手帳アプリ利用率88%達成、子育てDX推進が成果

    母子モ
    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000265.000099909.html)より

    母子モ株式会社が提供する自治体向け子育て関連事業のデジタル化支援サービス「子育てDX」が、広島県庄原市で大きな成果を上げている。2024年4月から6月までの調査によると、乳幼児健診等の問診票提出において、87.9%もの高い割合で「庄原ほのぼのネットアプリ」が利用されていることが明らかになった。この数字は、デジタル化による子育て支援の効果と、地域社会における技術受容の高さを如実に示している。

    目次

    庄原市における子育てDXの導入と展開

    庄原市では、2020年7月から母子手帳アプリ「母子モ」を「庄原ほのぼのネットアプリ」として導入し、デジタルを活用した子育て支援策を積極的に推進してきた。その後、「子育てDX」サービスの段階的な導入を行い、2020年11月には「オンライン相談サービス」、2023年1月には「オンライン予約サービス」、そして2023年3月には「質問票サービス」と「乳幼児健診サービス」の運用を開始した。

    この一連の取り組みは、子育て世帯の利便性向上を主眼に置いたものだ。特に注目すべきは、2024年4月から6月までの調査期間中に、乳幼児健診などの問診票提出の87.9%が「庄原ほのぼのネットアプリ」を通じて行われたという事実である。この高い利用率は、デジタル化による利便性の向上が市民に広く受け入れられていることを示唆している。

    アプリ利用促進の取り組み

    庄原市の成功の背景には、綿密な利用促進策がある。健診当日、市の職員が「庄原ほのぼのネットアプリ」への登録を積極的に呼びかけ、登録方法や利用方法を丁寧に説明している。この地道な取り組みが、約9割という高い利用率の実現につながったと考えられる。

    利用者からは、「時間があるときにアプリで回答できるのは便利」「(紙と比べて)記入が楽になった」といった肯定的な声が多く聞かれている。これらの声は、デジタル化がもたらす利便性が市民生活に浸透し始めていることを示している。

    デジタル化がもたらす業務効率の向上

    子育てDXの導入は、市民の利便性向上だけでなく、行政側の業務効率化にも大きく貢献している。アプリを通じた問診票の事前提出により、注視すべき点の見落とし防止につながっているほか、従来手作業で行っていた健康管理システムへの入力が自動化されたことで、作業時間が大幅に削減された。

    具体的には、健診結果のシステム入力作業時間が従来の4分の1程度にまで短縮されている。1カ月あたり約2時間を要していた作業が、「乳幼児健診サービス」の導入により約30分に短縮されたのだ。この時間短縮は、職員の業務効率化を実現し、他の重要な業務にリソースを割り当てることを可能にしている。

    デジタル問診票による業務改善の詳細

    デジタル問診票の導入により、以下のような具体的な業務改善が実現している:

    1. 住民が入力した問診票や、自治体・医療機関側が入力した内容の中で、注意して見るべき項目がハイライト表示されるようになった。この機能により、職員の見落としや確認漏れを効果的に防止できている。
    2. 健診結果のシステム入力作業時間が大幅に削減された。従来の手作業による入力に比べ、自動取り込みにより作業時間を4分の1程度に短縮できている。

    これらの改善は、単に時間短縮を実現しただけでなく、業務の質の向上にも寄与している。特に、注意すべき項目のハイライト表示は、健診の質を高め、潜在的な健康リスクの早期発見につながる可能性がある。

    子育てDXがもたらす社会的インパクト

    庄原市の事例は、子育てDXが地域社会にもたらす多面的な効果を示している。利用者である子育て世帯の利便性向上、行政の業務効率化、そして健康管理の質の向上など、その影響は広範囲に及んでいる。

    今後、このような取り組みが他の自治体にも広がっていけば、日本全体の子育て環境の改善につながる可能性がある。特に、少子高齢化が進む地方都市において、こうしたデジタル技術の活用は、限られた資源を効率的に活用し、子育て支援の質を向上させる有効な手段となり得るだろう。

    今後の展望と課題

    子育てDXの成功は、デジタル技術の社会実装における一つのモデルケースとなり得る。しかし、その普及には課題も存在する。デジタルデバイドの問題や、個人情報保護に関する懸念など、克服すべき課題は少なくない。

    今後は、これらの課題に対処しつつ、さらなる利便性の向上と業務効率化を図っていく必要がある。例えば、AIの活用による健康リスクの予測や、他の行政サービスとの連携など、さらなる発展の可能性は大きい。

    母子モ株式会社は、今後も地域社会と連携し、子育て世帯のさらなる利便性の向上と、子どもを産み育てやすいまちづくりを推進していく方針だ。庄原市の成功事例を基に、全国の自治体への展開を加速させることで、日本の子育て環境の改善に貢献することが期待される。

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