AIトラフィック急増に対応、アンリツの広帯域リニアアンプAH15199Bが登場

    AH15199B
    画像:120 Gbaud Wideband Linear Amplifier(dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/anritsu-devices/files/Brochures-Datasheets-Catalogs/ah15199a-e-c-2.pdf)より
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    次世代高速ネットワークの実現に向けた画期的な製品

    アンリツ株式会社が、2024年7月24日より140Gbaud PAM4広帯域リニアアンプAH15199Bの販売を開始すると発表した。この新製品は、1テラビット超の通信速度を実現する次世代光伝送デバイスの評価に不可欠なツールとなる。AH15199Bの登場により、高速ネットワークの普及と円滑な運用に大きな進展がもたらされると期待されている。

    広帯域リニアアンプAH15199Bの特長は、-6dB帯域で200kHzから135GHzという広範な周波数特性を持ち、140GbaudまでのPAM4信号を2.0Vppまで増幅できる点だ。高いゲイン特性(+15.5dB)と低いジッタ特性(300fs)を実現し、伝送路で減衰した信号を高品質な波形のまま忠実に増幅して出力することが可能となる。

    急増するデータトラフィックに対応する技術革新

    AIやMachine learning関連のトラフィック増加に伴い、サーバーやネットワーク機器の通信速度のさらなる高速化が求められている。次世代イーサネット規格IEEE802.3では、デジタルコヒーレント方式の採用が決定しており、800GBASE-LR1(10km用)、800GBASE-ER1-20(20km用)、800GBASE-ER1(40km用)などの規格が策定されている。

    また、OIF(Optical Internetworking Forum)では、800ZRや1600ZR、コヒーレントといった光伝送技術の共通仕様の検討が進められており、1テラ超の光伝送システムの研究が加速している。このような背景から、PAM信号を忠実に増幅し、変調器を直接ドライブできる高出力なリニアドライバの需要が高まっていた。

    AH15199Bの革新的な性能

    AH15199Bは、従来モデル(AH15199A)と比較して帯域幅が22GHz拡大し、140GbaudのPAM4で2.0Vpp信号評価に対応した高出力リニアアンプとなっている。140Gボーレートによる高速・高出力(2Vpp)データ伝送を、1.5W以下という低消費電力で実現している点も注目に値する。

    さらに、小型化した専用電源を標準装備することで、電源の取り扱い不備によるリニアアンプの破損リスクを低減している。これにより、ユーザーは安心して製品を使用できるようになった。

    光通信技術の未来を切り開く

    AH15199Bの主な対象市場は、光・電気高速デバイスメーカーや光信号試験用の計測器メーカーだ。140Gbaud対応の高速光デバイス評価に用いられることで、次世代の光通信技術の発展に貢献することが期待される。

    デジタルコヒーレント方式やIM-DD方式など、さまざまな光通信技術の評価に適したAH15199Bの登場により、研究開発の加速が見込まれる。特に、800GbEや1.6TbEといった超高速通信規格の実現に向けた取り組みが、より効率的に進められるようになるだろう。

    技術革新がもたらす社会的影響

    高速ネットワークの普及は、単に通信速度が向上するだけでなく、社会全体にさまざまな影響をもたらす可能性がある。例えば、より高度なAIアプリケーションの実用化や、大規模なデータ解析の迅速化などが実現すれば、医療、教育、製造業など幅広い分野でイノベーションが起こる可能性がある。

    アンリツの広帯域リニアアンプAH15199Bは、このような技術革新の基盤となる製品として、今後の情報通信技術の発展に大きく寄与すると考えられる。高速ネットワークの普及と円滑な運用を支える重要なツールとして、その役割が注目されている。

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