パイオニアのSaaSビジネス戦略とセキュリティ課題
パイオニアは、カーナビゲーションやカーAVなどの車載機器を世界中に提供する企業として知られている。近年、同社はモビリティデータやインテリジェントカメラの映像データ、位置情報を活用したクラウドソリューションやサービスの提供にも注力している。この戦略転換に伴い、セキュリティ対策の重要性が増していた。
パイオニアのCross Technology Center(CTC)開発本部クラウド開発部の本迫氏は、同社のSaaSビジネス推進について次のように語った。「私たちCTCは、”モノ”と”コト”を掛け合わせてソリューションで解決する”SaaSビジネス”を強力かつ迅速に推進する専門部隊だ。DevOpsによる開発・運用効率化、サービス開発・運用の内製化、サービスへのデータ活用強化をミッションとしている。」
しかし、SaaSビジネスの推進には課題もあった。本迫氏は「セキュリティ対策は必要不可欠だが、専任担当者がいないため対策が十分とは言えず、強化する必要があると感じていた」と述べ、脆弱性管理の重要性を強調した。
yamory導入の決め手となった3つの特徴
パイオニアがyamoryを選択した理由として、本迫氏は3つの特徴を挙げている。
1. シンプルで分かりやすいインターフェース
yamoryのダッシュボードは非常にシンプルで直感的だ。ITシステム全レイヤーの脆弱性情報と対応状況が一目で把握できる。また、日本語対応のUIやドキュメントが充実しており、検知された脆弱性の対応方法も日本語で明示されるため、セキュリティの専門知識がなくても対応が可能だ。
2. オートトリアージ機能による効率的な対応
yamoryのオートトリアージ機能は、検出された脆弱性を対応優先度別に自動分類する。本迫氏は「これまでは脆弱性を確認した後のトリアージができておらず、効率的な対応ができていなかった」と述べ、この機能により対応すべき脆弱性をすぐに確認し、効率的に対処できるようになったと評価している。
3. クラウドアセットスキャン機能による網羅的な脆弱性管理
クラウドアセットスキャン機能は、AWSのアカウント連携のみで内部のサーバー、コンテナイメージ、アプリライブラリを自動認識し、脆弱性および設定不備を自動検出する。本迫氏は「導入負荷の軽減を期待している」と述べ、さらに「一度AWSアカウントと接続することで、新規のサーバー、コンテナイメージ等を自動検出でき、アカウント内の網羅性を担保して脆弱性管理を行うことができる点に魅力を感じている」と評価している。
yamory導入による今後の展望
パイオニアのyamory導入は、同社のSaaSビジネス推進における重要な一歩だと言える。効率的で精度の高い脆弱性対策とITシステム全体のリスク管理が可能になることで、より安全で信頼性の高いサービス提供が期待できる。
今後、パイオニアはyamoryを活用することで、セキュリティ対策の強化と業務効率の向上を同時に実現し、競争力のあるSaaSビジネスの展開を加速させることが予想される。また、この取り組みは他の製造業企業がデジタル化を推進する際の参考事例となる可能性も高い。
自動車産業のデジタル化が進む中、パイオニアのような先進的な取り組みは業界全体のセキュリティ意識向上にも貢献するだろう。yamoryの導入を皮切りに、パイオニアがどのようにSaaSビジネスを発展させ、新たな価値を創造していくのか、今後の動向が注目される。