AIバディとの対話で英語力向上、中央大学が「スピークバディ」を本格導入

    スピークバディ
    画像:AI英会話スピークバディ(app.speakbuddy.me/)より

    中央大学が、AI英会話アプリ「スピークバディ」を本格的に導入することを決定した。このアプリは、感情表現豊かなAIキャラクターとの対話を通じて英語力を向上させる画期的な学習ツールだ。大学教育における英語スピーキング力強化の新たな取り組みとして注目を集めている。

    目次

    受験英語からの脱却を目指す大学の取り組み

    日本の大学生の多くが「読み書きはできても話せない」という課題を抱えている。これは長年の受験英語重視の教育システムが一因とされている。また、留学生との接点が限られていることから、英語を実際に話す機会が少ないという問題も指摘されている。

    中央大学国際センターの胡麻本太副課長は、従来の対面型英会話クラスについて次のように語る。

    「異なる語学レベルの学習者が混在するグループレッスンでは十分な学習効果が得られず、満足度が低い傾向がありました。このため、学習者のレベルに応じたレッスンが受けられるスピークバディは会話学習には非常に効果的だと考えています。」

    AI英会話アプリ「スピークバディ」の特徴

    「スピークバディ」は、従来の人との対話ではなく、AIバディとの対話を通じて英会話スキルを磨くアプリだ。このアプリの特徴は以下の通りだ。

    1. 感情表現豊かなAIキャラクターとの対話
    2. 発音、フレーズ、単語、イディオムなどを体系的に学習
    3. 第二言語習得理論と最新のAI技術の組み合わせ
    4. 時間や場所を選ばない手軽さ

    ユーザーからの高評価

    アプリストアでの評価は4.5(2024年7月時点、App Storeにて)と高く、累積学習者数は350万人を突破している。社会人を中心に利用者を伸ばしてきたが、最近では教育機関での導入も進んでいる。

    中央大学での導入経緯

    中央大学では、2023年11月に1ヶ月間の無料トライアルを実施した。その結果、78.6%の参加者がアプリの学習に満足と回答し、英語学習に対する意欲が8.7ポイント上昇した。

    学生からの反応

    トライアル後のアンケートでは、以下のような点が高く評価された。

    • AIキャラクターとの会話やストーリーの楽しさ
    • 時間や場所を選ばない手軽さ
    • 学習の効率性
    • 毎日続けたくなる仕組み

    これらの評価を受け、中央大学は「スピークバディ」の本格導入を決定した。

    今後の展開と期待される効果

    「スピークバディ」の導入により、中央大学の学生たちは自分のペースで英語力を向上させることができるようになる。特に、スムーズに会話を続けることが難しい学習者にとって、気兼ねなくマイペースで学習を行える点が大きなメリットになるだろう。

    また、この取り組みは他の教育機関にも影響を与える可能性がある。AIを活用した語学学習の効果が実証されれば、日本の英語教育全体にパラダイムシフトをもたらす可能性もある。

    教育現場におけるAI活用の可能性

    「スピークバディ」の導入は、教育現場におけるAI活用の一例に過ぎない。今後、AIを活用した学習支援システムがさまざまな分野で導入されていくことが予想される。

    AIによる個別最適化学習

    AIは学習者一人ひとりの理解度や習熟度を分析し、最適な学習内容や進度を提案することができる。これにより、従来の一斉授業では難しかった個別最適化学習が実現可能になる。

    データ分析による教育改善

    AIによる学習データの分析は、教育プログラムの改善にも活用できる。学生の躓きやすいポイントを特定し、カリキュラムや教材の改善につなげることができるだろう。

    課題と展望

    AIを活用した教育には大きな可能性がある一方で、課題も存在する。例えば、AIとの対話だけでは得られない人間同士のコミュニケーションの機微をどのように学ぶかという点だ。

    また、AIに過度に依存することで、自主的な学習意欲が低下する可能性も指摘されている。これらの課題を克服しつつ、AIの利点を最大限に活かすバランスの取れた教育プログラムの開発が求められる。

    中央大学の「スピークバディ」導入は、日本の英語教育におけるAI活用の先駆的な取り組みとして注目される。この実践を通じて得られる知見は、今後の教育イノベーションに大きな示唆を与えるものと期待される。

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