フリー株式会社が公開した「情シスのSaaS利用実態レポート」から、企業におけるSaaS利用の急激な増加と、それに伴う新たな課題が浮き彫りになった。この調査結果は、デジタル化が進む現代のビジネス環境において、SaaSがいかに重要な役割を果たしているかを示すと同時に、その管理の難しさも明らかにしている。
SaaS利用の爆発的増加
調査によると、有償のSaaSを利用している企業は全体の66%に達し、その普及率の高さが顕著となった。さらに注目すべきは、2年前と比較してSaaSの利用数が80%以上増加している点だ。この急激な増加は、リモートワークの普及やビジネスのデジタル化が加速していることを反映していると考えられる。
企業規模別の分析では、従業員数が増えるほどSaaSの導入数も増加する傾向が見られた。これは中堅・大企業におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）の推進や働き方改革への取り組みが背景にあると推測される。
利用拡大の要因
SaaS利用が急増している背景には、以下のような要因が考えられる。
- リモートワークの普及に伴うコラボレーションツールの需要増
- クラウドベースのソリューションによる柔軟な働き方の実現
- 業務効率化やコスト削減を目的としたデジタル化の推進
- スケーラビリティの高さと導入の容易さ
これらの要因が複合的に作用し、企業のSaaS採用を後押ししていると言えるだろう。
新たな課題：SaaS管理業務の増大
SaaSの利用拡大に伴い、情報システム部門には新たな課題が浮上している。調査結果によると、情報システム部門で最も時間を割いている業務として、「ヘルプデスク」（35%）に次いで「SaaS関連業務」（20%）が挙げられている。
SaaSの導入数が増えるほど、そのアカウント管理やセキュリティ対策、コスト管理などの業務負担も増大する。これは、SaaSがもたらす利便性の一方で、管理面での新たな課題を示唆している。
SaaS管理システムの重要性
このような状況を背景に、SaaS管理システムの導入が進んでいる。調査では、SaaSを利用する企業の54%がすでにSaaS管理システムを導入していることが明らかになった。特に、20個以上のSaaSを利用する企業では、その割合が70%以上に達している。
さらに注目すべきは、SaaS管理システムを導入した企業の79%が「効果があった」と回答している点だ。主な効果としては、入退社に伴うSaaSアカウントの管理工数の削減やコスト削減が挙げられている。
今後の展開と課題解決への道筋
SaaSの利用拡大と管理の複雑化という現状を踏まえ、今後の展開として以下のような方向性が考えられる。
- SaaS管理の自動化・効率化
- セキュリティ対策の強化
- コスト最適化の推進
- 従業員のSaaSリテラシー向上
これらの課題に対応するため、freeeが提供する「Bundle by freee」のようなSaaS管理ツールの重要性が今後さらに高まると予想される。
「Bundle by freee」の可能性
「Bundle by freee」は、200種類以上のSaaSと連携し、アカウント管理や棚卸し作業を自動化する機能を持つ。このようなツールの活用により、情報システム部門の業務効率化が図れるだけでなく、セキュリティリスクの低減やコスト管理の適正化にも寄与する可能性がある。
SaaS時代の新たな経営課題
今回の調査結果は、SaaSが企業のITインフラストラクチャーにおいて不可欠な存在となっていることを明確に示している。その一方で、SaaSの利用拡大に伴う管理業務の増大という新たな課題も浮き彫りになった。
今後、企業はSaaSの効果的な活用と管理の両立を図る必要がある。そのためには、SaaS管理システムの導入や、情報システム部門の役割の再定義、さらにはSaaSに関する全社的な戦略の策定が求められるだろう。
SaaSの利用拡大は、企業のデジタル化を加速させる重要な要素である。しかし、その管理と最適化は新たな経営課題として認識し、適切に対応していくことが、今後の企業競争力を左右する鍵となるだろう。
