映像素材管理の新時代到来 クラウドアーカイブサービス「空蔵」の開発背景
株式会社ユニゾンシステムズと株式会社エー・ビー・シー リブラが共同開発したクラウドアーカイブサービス「空蔵-kura-」が、映像素材管理の課題に革新的なソリューションをもたらす。放送業界を含む映像関連企業にとって、長年の懸案事項であった効率的なアーカイブ化の実現が現実のものとなった。
従来、放送業界では膨大な量の映像素材をオンプレミスや物理メディアで保管するのが一般的だった。しかし、物理メディアの生産終了や互換性の問題、管理コストの増大、素材の頻繁な取り出しなど、様々な課題が浮上していた。こうした背景から、クラウドを活用した長期的に運用可能な映像素材のアーカイブ化が急務となっていた。
クラウドサービス活用の広がりと「空蔵」の誕生
近年、多くの企業がクラウドサービスの効果を実感し始めている。総務省の令和5年度『情報通信白書』によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は2018年から2022年の間に58.7%から72.2%まで増加。さらに、利用企業の約9割が効果を実感していると回答している。
特筆すべきは、クラウドサービスの利用内容の6割が「ファイル保管・データ共有」である点だ。この傾向は、今後さらに多くの企業がクラウド上でデータのアーカイブ化を進めていく可能性を示唆している。
こうした潮流の中で誕生した「空蔵」は、エー・ビー・シー リブラの映像素材管理・利活用のノウハウと、ユニゾンシステムズの技術力が融合した画期的なサービスと言える。
「空蔵」がもたらす7つの革新的特徴
1. 柔軟なカテゴリー設定による効率的な検索
「空蔵」では、動画のカテゴリーを自由に設定することができる。検索する際の負荷を軽減し、必要な映像素材を素早く見つけ出すことが可能となる。
2. 高い視認性を実現するサムネイル確認機能
動画のサムネイルを確認できる機能により、視覚的な管理が可能となる。大量の映像素材の中から目的の素材を直感的に見つけ出すことができる。
3. 高速ファイル転送システム「STORM®」搭載
ユニゾンシステムズが開発した高速ファイル転送システム「STORM®」を搭載。アップロードやダウンロードにかかる時間を大幅に短縮し、作業効率を向上させる。
4. シーン単位での検索機能
映像内の特定のシーンに再生タイムとメタ情報を紐づけることができる。必要なシーンを素早く見つけ出すことが可能となり、編集作業の効率化が期待できる。
5. コスト最適化を実現する保管場所の分類
アーカイブ化する映像素材の使用用途や頻度に応じて、クラウド上の保管場所を分けることができる。使用頻度の低い素材は低コストの保管場所に移動させるなど、クラウド利用にかかるコストを抑制する工夫が可能だ。
6. カスタマイズ可能なメタ情報付与機能
映像素材にオリジナルのメタ情報を付与することができる。エー・ビー・シー リブラによる情報整理や情報付与サポートも利用可能で、より詳細な管理が実現する。
7. アーカイブ活用のためのトータルサポート
映像公開時に必要となる権利確認ノウハウや、販売サイトとの連携など、アーカイブの活用法をエー・ビー・シー リブラがサポート。単なる保管にとどまらない、映像素材の積極的な活用を促進する。
映像資産の価値再発見 エー・ビー・シー リブラからのメッセージ
エー・ビー・シー リブラの屋納勇治氏は、「空蔵」の開発に込めた思いをこう語る。「これまで映像管理業務に携わる中で、アーカイブの重要性が十分に理解されていないと感じることがありました。しかし昨今では、アーカイブを活用した新たなプロジェクトが増え、少しずつ映像資産の価値に光が当たり始めています。」
屋納氏の言葉からは、「空蔵」が単なる保管システムではなく、貴重な映像資産の価値を最大限に引き出すためのツールとして位置付けられていることが伺える。
ユニゾンシステムズが描く映像活用の未来
創業33周年を迎えるユニゾンシステムズは、長年培ってきた放送局向けシステム開発のノウハウを活かし、一般企業向けの映像管理システムの提供を開始している。映像を活用したビジネス分析の重要性が増す中、同社のITによる映像の切り出しや加工技術は、企業の映像活用に新たな可能性をもたらすものと期待される。
「空蔵」がもたらす映像アーカイブの新たな地平
10月の本格リリースを控えた「空蔵」は、放送業界のみならず、映像素材を扱うあらゆる企業に革新的なソリューションをもたらす可能性を秘めている。クラウド技術の進化と、映像素材の価値再評価が進む中、「空蔵」は映像アーカイブの新たな地平を切り開く先駆者となるだろう。
映像素材の管理と活用に悩む企業にとって、「空蔵」の登場は朗報と言える。今後、このサービスがどのように進化し、映像業界にどのような変革をもたらすのか、注目が集まる。