山形市が全国初の24時間AI相談「つながりよりそいチャット」を開始、孤独・孤立対策に新たな一手

    つながりよりそいチャット
    画像:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000146250.html)より

    山形市は2024年7月12日、24時間対応可能な傾聴型生成AIと専門職の相談員を組み合わせたハイブリッド型LINE相談システム「つながりよりそいチャット」の運用を開始した。この革新的な取り組みは、深刻化する孤独・孤立問題に対する新たなアプローチとして注目を集めている。

    目次

    先進的な相談システムの特徴

    「つながりよりそいチャット」は、従来の相談システムとは一線を画す特徴を持つ。利用者は24時間365日稼働する傾聴型生成AIと、平日9時から18時まで対応する専門職の相談員のいずれかを選択して相談することができる。この柔軟性により、時間や心理的なハードルに関係なく、誰もが気軽に相談できる環境が整備された。

    山形市に在住、在勤、在学している人であれば、年齢を問わず匿名で利用可能だ。LINEの公式アカウントを友だち追加し、簡単なアンケートに回答するだけで、すぐに相談を開始できる。

    孤独・孤立対策の新たな一手

    近年、少子高齢化や核家族化の進行、さらにはコロナ禍の影響により、地域や職場、学校などでのつながりの希薄化が進んでいる。これに伴い、孤独・孤立の問題がますます深刻化している。国も「孤独・孤立対策の重点計画」において、24時間対応の多元的な相談支援の必要性を掲げている。

    山形市では、この課題に対応するため、専門職の相談員の確保が困難な状況下で、AIテクノロジーを活用した新たな解決策を模索してきた。その結果として誕生したのが「つながりよりそいチャット」だ。

    試行実施から本格運用へ

    「つながりよりそいチャット」は、2023年2月に試行実施が行われた。この試行期間中、チャットを通じて相談者が前向きに変化していく事例が多数確認され、孤独・孤立への新たな予防的アプローチとして高い効果が認められた。

    この成果を受けて、山形市は2023年12月に特定非営利活動法人フローレンス、株式会社PKSHA Technology、株式会社Sapeetとの間で「孤独・孤立によりそう相談支援に関する協定」を締結。傾聴型生成AIの開発を進め、今回の本格運用に至った。

    AIと人間の協働による支援

    「つながりよりそいチャット」の特筆すべき点は、AIと人間の相談員が協働して支援を行う点にある。利用者がAIを選択した場合でも、専門職の相談員がチャットのやり取りを監視し、必要と判断した場合は人間の相談員が対応を引き継ぐ。

    専門職による支援体制

    相談員には、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、公認心理士、保健師、看護師などの資格と実務経験を持つ専門家が配置されている。これにより、高度な専門知識が必要な相談にも適切に対応できる体制が整えられている。

    相談から具体的な支援へ

    「つながりよりそいチャット」は単なる相談窓口にとどまらない。相談者から支援の希望があった場合や、専門職の相談員が支援の必要性を判断した場合には、関係機関と連携して具体的な支援につなげる仕組みが用意されている。

    この包括的なアプローチにより、孤独・孤立に悩む人々に対して、相談から具体的な支援まで一貫したサポートを提供することが可能となっている。

    今後の展開と期待

    「つながりよりそいチャット」の運用開始は、孤独・孤立対策における画期的な一歩と言える。AIと人間の専門家が協働する新しい相談モデルは、人材不足や時間的制約といった従来の課題を克服し、より多くの人々に支援の手を差し伸べることを可能にする。

    今後、このシステムの効果や課題を詳細に分析し、さらなる改善を重ねていくことで、孤独・孤立に悩む人々へのサポート体制が一層強化されていくことが期待される。山形市の取り組みが、全国の自治体にとってのモデルケースとなり、日本全体の孤独・孤立対策の進展につながる可能性を秘めている。

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