楽天グループ株主優待で30GB無料回線を配布、モバイル事業の理解促進狙う

    楽天グループ
    画像:5ちゃんねる(https://itest.5ch.net/pug/test/read.cgi/editorialplus/1644823808/-100)より

    楽天グループは第27期株主優待として、楽天モバイルの「音声+データ30GB/月」プランを1年間無料で利用できる回線を配布した。この大胆な施策の背景には、赤字が続くモバイル事業への株主の理解を深める狙いがあるとみられる。本記事では、この株主優待専用回線の特徴や実際の使用感、そして楽天グループの戦略的意図について詳しく解説する。

    目次

    株主優待専用回線の概要と特徴

    楽天グループが配布した株主優待専用回線は、法人向けの「Rakuten最強プラン ビジネス」をベースにしたカスタマイズプランだ。2023年12月末日時点で100株以上を保有する株主を対象に、5月以降順次配布された。

    この回線の主な特徴は以下の通りだ。

    • 毎月30GBまでのデータ通信が可能
    • 専用アプリ「Rakuten Link Office」経由の通話が無料
    • 海外で2GB/月まで無料で利用可能

    ただし、30GB超過後は通信速度に制限がかかり、my楽天モバイルアプリでの利用状況確認ができないなど、一般向けプランとは異なる制約も存在する。

    株主優待専用回線の利用体験

    実際に株主優待専用回線を使用してみると、一般的な楽天モバイルの回線と同様の使用感だったと報告されている。地下やエレベーター内など、一部エリアでの接続の不安定さはあるものの、通常の使用では快適に利用できるようだ。

    ただし、利用状況の確認が難しい点や、30GBという容量制限がある点から、メインの回線としてではなく、サブ回線としての利用が推奨される。

    楽天グループの戦略的意図

    この大規模な株主優待には、単なる株主還元以上の意味があると考えられる。楽天グループの2023年通期決算では、モバイル部門が3375億円の赤字を計上しており、グループ全体の業績の足かせとなっている。

    一方で、直近2カ月で回線契約数が650万から700万に急増するなど、成長の兆しも見られる。こうした状況下で、株主にモバイル事業を直接体験してもらうことで、事業の可能性と課題を理解してもらう狙いがあると推測される。

    今後の展望と課題

    楽天モバイルは2024年度末までに800万~1000万回線の獲得を目指しているが、この株主優待専用回線の配布により、一時的に契約回線数が増加することは確実だ。しかし、真の成功は、この施策を通じて実際の顧客基盤の拡大につながるかどうかにかかっている。

    また、2025年以降の株主優待については現時点で未定とされている。モバイル事業の業績改善や契約者数の目標達成状況によっては、優待内容が変更される可能性も高い。

    楽天グループにとって、モバイル事業の黒字化と楽天エコシステムとのシナジー創出は依然として重要な課題だ。通信品質の向上やARPU(1契約当たりの月間平均収入)の改善など、今後の取り組みに注目が集まる。

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