Zscaler創業者兼CEOのJay Chaudhry氏が初来日し、日本市場におけるビジネス戦略と、ゼロトラストセキュリティモデルの重要性について語った。企業の”脱VPN”とセキュリティの簡素化に焦点を当てた同社の成長戦略が、日本市場でも大きな反響を呼んでいる。
Zscalerの日本市場での急成長
Zscalerは2018年に日本でのビジネスを本格始動させ、わずか5年で目覚ましい成長を遂げた。ゼットスケーラー代表取締役エリアバイスプレジデントの金田博之氏によると、現在の日本の顧客数は約600組織に達し、過去5年間で年間契約額の成長率は7倍に拡大したという。
金田氏は、この成功の背景にある戦略について次のように述べた。「セキュリティと生産性を両立した業務基盤の提供を通じて、日本企業のビジネス戦略の推進に伴走することをミッションとしている。」この方針のもと、チャネルパートナーの拡大、顧客サポート体制の強化、製品のローカライズに注力してきた結果、アジア太平洋日本地域において日本が最大の市場となったという。
日本企業のニーズに応える
金田氏は、400社以上のCIOやCISOとの対話を重ねてきたことを強調し、「セキュリティやITの戦略に伴走してほしいというお客さまの期待に応え、セキュリティと生産性の両立という難しい課題にソリューションを提供し、実績を積み重ねている」と語った。この姿勢が、日本企業からの信頼獲得につながっているようだ。
ゼロトラストセキュリティモデルの重要性
Chaudhry氏は、従来の境界防御モデルに基づくVPN中心のセキュリティ対策が時代遅れになっていると指摘した。「インターネットやPC、クラウド、IoTなどの大きな変化が生じている中でも、ネットワークセキュリティは基本的に1990年代からの仕組みのままだった」と述べ、新しいアーキテクチャーの必要性を強調した。
ZTNAの優位性
Zscalerが提供するゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)は、この課題に対する解決策として注目を集めている。Chaudhry氏は、「ネットワークの接続先が家庭にもビジネスパートナーにも広がる現在、VPNで社内外のネットワークを切り分け社内側を安全にするという仕組みが問題をもたらしており、新しいアーキテクチャーによる仕組みが必要になっている」と説明した。
エコシステムの構築と価値提供
Zscalerは、アイデンティティー管理やエンドポイントセキュリティの分野で、MicrosoftやOkta、CrowdStrikeなど、各分野のリーディングカンパニーと連携している。また、SalesforceやAWS、Google Cloudといった主要クラウドベンダーとのエコシステムも形成している。
コスト面での懸念に対する回答
新しいセキュリティ対策の導入コストや円安の影響について、Chaudhry氏は次のように述べた。「価格に見合うお客さまへの提供価値を高め続けていることが重要だ。われわれのセキュリティサービスは、一般的なビジネスアプリケーションよりも早く効果を創出でき、VPNやネットワークアクセス制御(NAC)といった旧来の仕組みを置き換えられる点でも、より多くのメリットがある。」
今後の展開
Zscalerは、日本市場でのさらなる成長を見込んでいる。金田氏とChaudhry氏の発言から、同社が日本企業のデジタルトランスフォーメーションとセキュリティ強化を同時に支援する姿勢を強めていくことが予想される。
ゼロトラストセキュリティモデルの普及が進む中、Zscalerの戦略がどのような成果を上げるか、今後の動向が注目される。