Snowflakeが自社製品を積極的に活用する「Snow on Snow」プログラムにより、業務効率化と大幅なコスト削減を達成した。このプログラムは、最高情報責任者(CIO)兼最高データ責任者(CDO)のSunny Bedi氏が5年前に立ち上げたものだ。Snowflake Summit 2024でBedi氏に詳細を聞いた。
Snow on Snowプログラムの目的と成果
Snow on Snowプログラムは、Snowflakeの技術を社内で最大限に活用することを目的としている。このプログラムを通じて、自社製品の使用経験をエンジニアリングチームと製品チームにフィードバックし、最終的にリファレンスアーキテクチャとして形式化することができた。
このプログラムの成果の一つとして、ServiceNowとのコネクターの開発がある。Snowflakeは社内でServiceNowを使用しており、両社の協力によりコネクターが開発された。まず社内で使用してその有効性を確認した後、一般提供されるに至った。
また、SaaSベンダーとのデータ共有についても、Snow on Snowプログラムからのフィードバックが実現につながった例もある。
AIとMLの活用による業務効率化
Snowflakeは、AIとMLを活用して業務効率化を進めている。その一例が「Snow Patrol」というライセンス管理アプリケーションだ。
Snow Patrolによるライセンス最適化
Snow Patrolは、従業員の行動をML分析し、アプリケーションの利用状況に基づいて不要なアクセス権を自動的に削除する。必要に応じて10分以内にアクセス権を復活させることも可能だ。この取り組みにより、年間500万ドル以上のコスト削減を実現した。
AIを活用した新入社員サポート
Snowflakeは、AIを使って新入社員が社内ドキュメントに簡単にアクセスできるシステムも構築した。非構造化データをSnowflakeのデータベースに格納し、Cortexを使用してAIモデルをトレーニングすることで、会話形式のAIエージェントを開発した。新入社員はこのエージェントに対話形式で質問することができ、迅速な情報アクセスが可能になった。
法務部門でのDocument AI活用
Snowflakeの法務部門では、Document AIを活用して契約書管理の効率化を図っている。PDF形式の契約書から重要な情報を抽出し、Snowflakeで処理を行う。さらに、Cortex Search、Cortex AI、Document AIを活用することで、データを対話形式で調べられるようになった。
従業員の生産性向上と新たな挑戦
これらの取り組みにより、従業員は生産性向上で生み出された時間を新しいスキルの習得や新たな業務に充てることができるようになった。Bedi氏は、これらの取り組みは人員削減ではなく、従業員が新しいことに挑戦する余裕を生み出すためのものだと強調している。
日本市場への注目
Bedi氏は日本の顧客との交流にも触れ、日本のユーザーの先進性を高く評価している。日本企業のクラウドへの投資意欲の高さや、MLやAIなどの最新技術への関心の高さを指摘した。
AI/ML活用のアドバイス
Bedi氏は、AI/ML活用を検討している企業に対し、まずはデータ戦略に投資することの重要性を強調した。適切なデータ戦略を立てた上で、SnowflakeのAI機能を活用することを推奨している。
今後の展開
Snowflakeは、自社製品の活用を通じて得られた知見を顧客にも提供していく方針だ。Snow on Snowプログラムを通じて開発された機能や改善点は、今後も顧客に還元されていくことが期待される。
Snowflakeの取り組みは、テクノロジー企業が自社製品を積極的に活用することの重要性を示している。自社製品の実践的な使用を通じて得られる洞察は、製品の改善や新機能の開発につながるだけでなく、顧客に対してより説得力のある提案を可能にする。今後も、Snowflakeの革新的なアプローチが業界に与える影響に注目していく必要がある。