ミスミの「meviy Finder」がAIで図面検索革新、製造業の生産性向上へ大きな一歩

    meviy Finder
    画像:meviy(jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/finder-pre/)より
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    次世代の図面管理システム「meviy Finder」とは

    ミスミグループ本社が発表した「meviy Finder」は、機械部品調達サービス「meviy」の新機能として注目を集めている。この革新的なシステムは、AIを駆使して2D図面データの検索や共有を可能にする。従来の紙ベースの図面管理から脱却し、デジタル化による業務効率の飛躍的な向上を目指している。

    「meviy Finder」の最大の特徴は、アップロードされた2D図面データをAIが自動的に認識・解析する点だ。図面番号、部品名、材質、処理方法、外形サイズ、公差などの重要情報を構造化して分類し、データベースに登録する。ユーザーは、キーワード検索だけでなく、AIが提示する類似図面データを参照することができ、類似度もパーセンテージで表示される。

    部門間のシームレスな情報共有を実現

    「meviy Finder」は、研究開発、設計、購買、生産管理などの各部門間での図面データ共有を可能にする。部門を超えた情報の流通が円滑になることで、製品開発のスピードアップや、部品調達の効率化が期待できる。将来的には3D図面データへの対応や、meviyの見積もり機能との連携により、短納期での発注から納品までのプロセスを一気通貫で管理できるようになる見込みだ。

    製造業が抱える図面管理の課題に挑む

    常務執行役員のID企業体社長、吉田光伸氏は、現在の製造業が抱える図面管理の問題点を指摘している。CADやCAEで作成された部品図面が、調達段階で紙に印刷されてファクシミリで送られるという非効率な実態がある。また、過去の図面が紙ベースで保管されているため、必要な情報を探し出すのに多大な時間と労力がかかっている。

    「meviy Finder」は、まさにこれらの課題を解決し、製造業の生産性を大幅に向上させることを目的として開発された。デジタル化された図面データの一元管理と、AIによる高度な検索機能により、設計から調達までのプロセスを効率化し、製造業における貴重な時間の創出を実現する。

    AIが支える「meviy」の進化

    ミスミグループ本社は、「meviy」の機能強化にAIを積極的に活用している。ID企業体 meviy Labのジェネラルマネージャー、芝田篤史氏によると、同社は米カーネギーメロン大学と共同で、図面データにおけるAI技術の研究開発を進めてきた。

    800垓(1兆の800億倍)という膨大な商品情報をAIの教師データとして活用し、様々なアルゴリズムを開発。この技術は、「meviy」の自動見積もり機能や2D図面データの自動認識に応用されている。AIの学習には自社データのみを使用し、ユーザーデータは一切利用しないなど、セキュリティ面にも十分な配慮がなされている。

    「meviy」の成長と今後の展望

    「meviy」は2019年の本格提供開始以来、急速な成長を遂げている。国内では16万ユーザー、のべ2500万件の利用実績を達成。2023年度には中国と韓国でもサービスを開始し、グローバル展開も加速している。

    大手自動車部品メーカーのデンソーが、AGV(自動搬送車)の試作から量産までのプロセスに「meviy」を採用するなど、利用目的の拡大も見られる。また、国内の大学や高等専門学校の約3割が「meviy」の教育機関向けプログラムを導入しており、次世代のエンジニア育成にも貢献している。

    驚異的な成長を遂げる「meviy」

    2024年3月期の決算では、「meviy」の売上高が前期比24.7%増の116億円に達し、FA事業全体に占める割合も10.4%に拡大した。吉田氏は、5年間で100億円の成長を自社サービスで実現した点を強調し、その成長スピードの異例さを指摽している。

    「meviy Finder」の導入により、「meviy」はさらなる成長段階に入ると予想される。図面管理の効率化は、製造業全体の生産性向上につながる重要な要素であり、今後の展開が注目される。

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