Microsoftが提供するCopilot+ PCが登場し、ローカルで生成AIを利用できる時代が幕を開けた。ラフスケッチからイラストを生成したり、カメラ画像を補正したりと、NPUのパワーを活用した新しい用途が提案されている。しかし、この革新的な技術は同時に、PCのメモリ容量に対する新たな課題を浮き彫りにした。
Copilot+ PCのメモリ消費量を検証
Copilot+ PCに搭載されている生成AI機能のメモリ消費量を実機で検証したところ、興味深い結果が得られた。
画像生成モデルの意外な消費量
画像生成モデルのメモリ消費量は約1.3GBであることが判明した。この数値は、Cocreator、Image Creator、Restyle Imageのいずれの機能を使用した場合でも一定であった。一見すると少ないように思えるかもしれないが、PCの全体的なパフォーマンスを考慮すると無視できない量だと言える。
実際の使用シナリオでのメモリ消費
日常的な作業環境を想定し、複数のアプリケーションとCopilot+ PCの機能を同時に使用した場合のメモリ消費量を調査した。Webブラウザ、オフィスソフト、コミュニケーションツールなどと組み合わせると、メモリ使用量は15.1GBにまで膨れ上がった。この結果から、16GBのメモリを搭載したPCでは、快適な操作環境を維持するのが難しくなる可能性が高いと推測される。
将来的な言語モデル導入によるさらなる負荷
Microsoftは、Copilot+ PC向けの小規模言語モデル「Phi-Silica」の提供を発表している。このモデルは33億パラメーターを持ち、NPUに最適化されているが、その導入はメモリ消費量をさらに押し上げる要因となりうる。
予想されるメモリ消費量の増加
Phi-Silicaのような言語モデルが実装された場合、追加で1.5〜2GBのメモリ消費が見込まれる。現在の画像生成モデルと合わせると、AIハーパーに関連する機能だけで3GB以上のメモリを恒常的に使用することになる。この状況下では、16GBのメモリでは十分な余裕が確保できない可能性が高い。
PCの選び方に影響を与える新たな基準
Copilot+ PCの登場により、PCのメモリ容量選択に新たな基準が生まれつつある。特に、最近のノートPCはメモリが基板に直付けされているものが多く、後からの増設が困難であることから、購入時の選択がより重要となってきている。
32GBメモリの重要性が増す
今後数年間を見据えると、快適な操作環境を維持するためには32GBのメモリを搭載したPCが標準となる可能性が高い。生成AI機能の進化や、より高度な言語モデルの導入を考慮すると、余裕を持ったメモリ容量の選択が賢明だと言える。
今後の展開と消費者への影響
Copilot+ PCの登場は、PCの使い方や性能に対する考え方を大きく変えつつある。消費者は、単に現在の用途だけでなく、将来的なAI機能の拡張も視野に入れたPCの選択を迫られることになるだろう。
メーカー側も、この新たな需要に応えるべく、高メモリ容量モデルの拡充や、価格戦略の見直しを迫られる可能性がある。また、メモリの効率的な使用を実現する新たな技術開発も期待される。
Copilot+ PC時代の到来により、PCの性能評価基準が大きく変わろうとしている。消費者、メーカー双方にとって、この変化に適応することが今後の課題となるだろう。